四百九十三話 ページ24
『ひっく』
突如の大きな音に中断された、たまさんと坂田金時が作り出していた昼休みの一時。
情報を処理しきれていない脳に入ってくる酔っぱらい特有のしゃっくりと割れた酒瓶。
そしてAさんが振り下ろした酒瓶によりお酒まみれになったカラオケ。
『直った?』
金時「むしろ破壊したな」
未だ場に流れる微妙な空気にAさんの呆けた声に坂田金時の冷静な声。
だんだんと状況を飲み込めるようになって私から出てきた一声は、ストッパー役にあるまじき台詞だった。
詩織「……旦那、やっちゃっていいですよ」
銀時「奇遇だな、俺も同じこと考えてたところだ」
今度は旦那の酒まみれのカラオケがAさんの頭に向かい炸裂した。
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金時「お前、次やらかしたらクビな」
『マジでか、今のうちに給料高いとこ探さないと』
あの後結局カラオケは壊れ万事屋金ちゃんの依頼はご破算となった。
したがって万事屋銀ちゃんの見せ場も失ったわけで、今度は別の依頼の元へと移動する坂田金時達をストーキングしているような形だ。
たま「銀時様、諦めてはいけません。
虎視眈々と見せ場を奪っていきましょう」
銀時「いや諦めてはないんだけどさ。
金時君、早急にそのバカを解雇した方がいいと思うんだ」
『オイ銀パ、バカとはなんだバカとは』
金時「助言はありがたいんだが、こんなんでも幼なじみなんでね」
不思議なことにAさんを介して一時的に少し距離が縮まっているらしい旦那と金時。
坂田金時がAさんの頭を犬のようにわしゃわしゃとかき混ぜる。
そんなときに出てきた「幼なじみ」という単語が新鮮で、思わずチラリと二人の方を盗み見てしまった。
詩織「旦那、あそこ思いっきりラブコメしてますけどいいんですか?
旦那的にあのシチュエーションと密着はいいんですか?」
銀時「真面目ちゃんが俺とアイツの関係にどういう夢見てんのかはしらねェが俺は関与しねェからな。勝手にラブコメでも逆ハーでも始めてくれよ」
密かに旦那とAさんの関係に胸をときめかしていた故こっそりと耳打ちをする。
しかしいつも通りの旦那の冷たい反応に夢は砕け散った。
旦那の反応に少し残念がっているとどこからともなく男女の声が耳に入る。
「いやっ!止めて‼」
「少しぐれェいいだろ」
目を向けると、そこには大柄の男性に小柄の女性といういかにもな構図が出来上がっていた。
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作者名:たこわさび | 作成日時:2023年10月9日 22時