四百八十九話 ページ20
『どう、誰かいる?』
「いや、とくに誰も見えねェな」
『え〜、無駄足ってこと?』
頭を高く掲げてから不満を漏らしつつUターンして戻っていくAさんと坂田金時の頭。
その異様な光景を見てしまった二人と一機と一匹はただただ口を塞げずにいる。
しばらく経って現万事屋が見えなくなると出てきたのは衝撃からの余韻だった。
詩織「…とれてましたね、首」
銀時「あぁ…とれてたな、首」
たま「とれてましたね、ガッツリと」
定春「アンッ!」
隠れていた階段からひょっこりと顔を出しさっきの出来事について数段かい租借する。
ロボットにシャンプーは必要なのかという疑問はひとまず忘れることにしよう。
大前提として人間はそもそも首の取り外しはできない、そして文字通り首を取り抱えてシャンプーすることもない。
人間にはなし得ない要素マシマシだったあのシーン。
けれどそれに一つも動じずシャンプーをしながらお客さんの対応をしようとしたAさん。
詩織「いや普通アレどこかおかしいって思いません⁉
なんであの人は平然と生首と会話してるんですか⁉」
たま「けれどA様はどのようなお方でも仲良くなれるとお聴きしましたが…」
詩織「でも限度ってものがありますよね⁉いくらなんでも‼
首を小脇に抱えるなんてケーブル通ってる人間にしかできませんよ‼」
銀時「いやー、まさかアイツのバカがあそこまでとはな。
全く、どこで教育を間違ったんだか」
詩織「アレはどう考えてもバカで済ませられる域越えてますって!」
どこか達観した目で告げる旦那に抗議するように万事屋の出入り口を指して捲し立てた。
今まで一緒に過ごしてきておっちょこちょいとかはあったけれどそのレベルじゃない。
もしかして計画の邪魔になるからとかで坂田金時に目を焼かれた?
それか度重なる原作改変によってAさんが信じられないほどのポンコツに…?
銀時「アイツは元々あんな感じだろ?」
詩織「そうですかねぇ…」
なにか色々と納得はいかないがとにかく一番最初に話を戻すのが優先。坂田金時の対策についてだ。
催眠波により今まで旦那がとってきた行動が坂田金時のものになっているわけだから、記憶の中の坂田金時と今の坂田金時は全くの別物。
私たちはこれからそこの違和感を浮き彫りにさせればいい。
たま「とりあえず打倒、坂田金時ということで」
「「…おー」」
たまさんの一声に締まらない声音で拳をあげた。
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作者名:たこわさび | 作成日時:2023年10月9日 22時