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四百八十五話 ページ16

___万事屋



「ハッ、ハハハハッ」



日が沈み始めオレンジ色の光が室内を照らす万事屋金ちゃん。

店とも言えるし民家とも言える私生活と仕事が混ざった空間に、社長椅子を無駄に回転させる音と悪役顔負けの高笑いが響く。


それはバラエティー番組での内容がフラッシュバックしてきた故の思い出し笑いなのか。
それとも沈みきったオリジナル(坂田銀時)の目を見て優越感に浸っている勝者の笑いなのか。


後者とも言えるしどちらともとも言える。

なんていう曖昧な答えを残してから、側に立っていた知り合ってわずか数日の“共犯者”に声をかけた。



『ねぇ見た⁉銀時の顔‼
今日は甘味なしで生きていける気がするよ』


金時「…………」



意味ありげに話してるけどこの場にいるのはただの山南とただの金時なんだよな。


やや興奮気味に目を輝かせて語る私を軽蔑のような冷めた目で金時は見る。
お前がアイツを倒したがってたのに?最初は意気揚々と粉微塵にしようとしてたのに?

既に同じ志を元にして同盟を組んだ気でいたが青汁並みに渋い反応、極めつけに私を切り離すように金時は告げた。



金時「お前、俺より性格悪いだろ」


『それ諸悪の根源が言う?』



社長椅子の回転を止めて頬をつきながら目線を横の坂田金時へと向ける。

隣にいるこの男は今回の記憶喪失事件の黒幕だ、町民全員の記憶を催眠かなんかで消して坂田銀時へ成り代わろうとしている卑劣な男。


そんな今回の件のラスボス的存在に「性格が悪い」と言われる筋合いは断じてない。



『それに、初対面で記憶消そうとしてきた奴にんなこと言われたくないね』


金時「俺の計画を聞いた途端一秒も待たずに食いついたのは誰だったかよく考えるんだな」


『私に計画を全部話したのマヌケはだーれだ』



人差し指で金時を満面の笑みで指すと気まずそうに目を逸らす姿が見えた。

まぁ、金時の方は記憶は消すからついでに話しとけ的な感じで打ち明けたんだろう。
例えば普通ヒロインなら銀時を貶める内容の計画に目を見開かせそのまま洗脳へがベタかな。


…そもそも逆ハーでも恋愛物でもない時点で結構普通じゃないんだよな。


つまるところ私と金時の馴れ初めを語るとしたら万事屋IN!コイツ誰!洗脳されそう!作戦ホント⁉協力するぜ、イヤッホー‼みたいな雰囲気だ。



金時「お前ら曲がりなりにも腐れ縁だろ?よくこんな事できんな」


『いや、私も結構人道を外れてる行為だなと思ってる』

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作者名:たこわさび | 作成日時:2023年10月9日 22時

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