四百八十話 ページ11
旦那の食い止めようとする声を振りきり、源外さんがいつもいるちょっとした工場のような場所にやって来た。
しかし中にも外にも人の様子はない。
不思議に思って中を覗くと箱の上に置かれているプレゼン資料のようなものが視界に入る。
クリップでウン十枚纏められているようだが一番上に記されている内容に目を丸くした。
詩織「ギンプラコレクション、パーフェクトキントキ…?」
まるで新しいプラモデルの案とでも言わんばかりに企画書と書かれているその紙の束は、あの坂田金時をセンターに置いている。
人気が高まってプラモデル専門雑誌の表紙に出演でもしたのかな。
いや、けれどプラモデルと万事屋なんてタモさんとモノクロ以外の服くらい縁がないし…。
悪い気もするがこちらも旦那の精神HPがかかっているため恐る恐るページを捲る。
そうすると今度書いてあったのは坂田金時の組み立て方法だった。
へー、プラモデルって始めてみるけどこういう仕組みになってるんだ。
詩織「………………いやいやいやいや‼」
顔、髪、耳、そして手足のパーツに塗料の塗り方のコツが細々と記載されている。
専門外なので詳しくはわからないが通常のプラモデルの説明書もこういう感じなんだろう。
しっかり図ものっており分かりやすい…だが、このままいくと有り得ないような真実が見えてしまう。
詩織「坂田金時が、プラモ?」
説明書によれば組み立てられているのは間違いなく万事屋を乗っとり過去を改ざんしていたアイツ。
いくらパーフェクトな性格でもパーフェクトなスマイルでもパーフェクトな金回りでも、挙動や言動に違和感はなく話している感じもただの人間だった。
1000年に一人のパーフェクト遺伝子人間と言われればまず疑う人はいないだろう。
まぁ坂田金時がパーフェクト人間だったら旦那はただのパフェ厨人間になってしまうが。
しかし時たまからくりだと言うことを忘れてしまいそうなたまさんのことを考えれば有り得なくもないのか…最近の技術の進歩は恐ろしい。
ともかくこの大発見をいち早く旦那に伝えなければ。
束ねられた資料を手にその場を去ろうとしたときだった。
源外「あり、客人か?」
詩織「!」
鬼の居ぬ間に洗濯、とはいかないようで咄嗟に資料を背後に隠す。
見知らぬ人間が勝手の自分のテリトリーに入っているんだから空き巣と思われても仕方ないし、なるべく誤解する挙動は避けなきゃ。
…それが事実でも、だけど。
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作者名:たこわさび | 作成日時:2023年10月9日 22時