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「凛」
「あぁ、東さんやんか ここ座ります?」
私は隣の空いてる席をポンポンと叩いた。屋上に自販機や椅子が置いてある場所があって、喫煙者はそこでタバコを吸っていた。私もそのうちの一人だった。
「…お前、未成年だろ?」
東さんは私の手にあるタバコをじっと見て、ため息をついた。
「えーー、見逃してくださいよ」
私は、ははっと笑いながら言った。
「だ・め!」
東さんはそう言って私の手の中にあるタバコを取り上げた。その私のタバコは東さんの口の中に吸い込まれていった。
「あ!東さんずるい!」
「俺は大人だからいいんだよ」
東さんは、はっはっはと笑いながら、私の横に座った。
「凛、どこかの隊に入らないか?」
私は夜中で真っ暗の中、私たちを照らす電灯と私の吐いた白い息が交わっているのをぼんやりと見つめた。
「…たとえ東さんの提案やったとしても、私はどこの隊にももう入らへん」
「お前が悪い訳でもないだろ」
私はふっと笑って、私のタバコをくわえた男を見た。
「……それでも責任はとりたいんや 生駒隊の連中はみんな気のええ奴らやからそんなんせんでいいって言うやろーなーってのはわかるねんよ でも私が納得いかんねん」
それに、と私はにやっと笑って言葉を続けた。
「東さん、上から私をどっかの隊に加える様に上から言われたやろ? 『なんとなく』わかるで」
東さんははぁーっとため息をついて、しかたがないなと笑った。
「遥には何も秘密ごとできないなあ そうだよ、上はお前のことをA級のどこかの隊に加えたがってる」
「A級て、私、そんな実力ないで!」
この前かて太刀川さんに負けたのにと言った。
「太刀川と同等に戦えるのなんて、ほんの一握りだよ そこまで求めていない ま、考えてみてくれ 返事は急かさないから」
東さんはそう言って立ち上がった。
「あ、そう言えば、」
「どうしたんですか?」
「風間がお前のことさがしてたぞ なんかやらかしたのか?」
「…いや、風間さんが私のこと探すときは太刀川さんのレポート関係やわ」
「…大変だな」
私は副作用のおかげで勉強しなくても成績がよかった。そのせいで高校生時代はテスト期間で忙しい風間さんから一個上の太刀川さんの面倒をみさせられていたのだ。大学生になった今も、それは続いている。ようは風間さんには逆らえないのだ。
「はぁーー、いややけど、行かなあかんわ」
「なら、一緒に降りようか」
東さんは私の頭をぽんぽんと撫でた。
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つちのこ(プロフ) - ありがとうございます!忘れてしまってました… (2020年5月23日 23時) (レス) id: 2241c11c95 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:つちのこ | 作成日時:2020年5月23日 22時