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「ちょっ、いたいって!! 太刀川さん!!」

隠岐と別れた後、私は太刀川さんに手を引っ張られて、どんどん人がいない方に連れて行かれていた。今いる場所はもうベテランの域に入っている私ですら、わからないような場所だった。

『どうしよう… 凄く嫌な予感がする…』

嫌な予感はするものの、太刀川さんが何をするのかは分からなかった。いつもそうだ。いままで親の言うことでさえ、なんとなくわかっていたのに、太刀川さんの言うことはわからなかった。最初こそ戸惑ったものの、慣れてくるにつれて、正直、太刀川さんと話すのが楽しかった。でも、今は、太刀川さんの話すことがわからないことがこんなにもつらいなんて。


「太刀川さん、私、太刀川さんが言おうとしてることはわからへんよ やから、今、太刀川さんが言おうとしてること、私に言ってほしい」

私がそう言うと太刀川さんはぴたっと止まった。私に背を向けたままだったが。


「…だよ」

「え?なんて言ったん??」

「だから! なんで、隠岐と抱き合ってんだよ!!」

「はぁ!? なんでそんなん、太刀川さんに言われなあかんねん!!」

太刀川さんは一瞬、ぐぅみたいな言葉にならない言葉を吐いた。

「俺とキスしたじゃねーか!!」

「キスしたけど! キスしただけで彼氏面されたら困るわ!」

「あーー、もうわかった! 」

その瞬間、私は太刀川さんに2度目のキスを受けた。

「ふっ、ん、」

1度目と違い、深いキス。私はついていくのに必死だった。

やっと唇が離れた後、私はしゃがみこんだ。そんな私に合わせて太刀川さんもしゃがんだ。そして、一瞬、逡巡してから、言った。




「好きだ、お前のことが、好きだ」



その時の太刀川さんの顔といったらおかしくて仕方がない。泣きそうなのを耐えているような顔。貴方にもそういう顔ができたんですね。

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つちのこ(プロフ) - ありがとうございます!忘れてしまってました… (2020年5月23日 23時) (レス) id: 2241c11c95 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:つちのこ | 作成日時:2020年5月23日 22時

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