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第二十一話  ページ24

「なっ!? 放して!!」

「A、どうして止めたのぉ?」


ロードが首を傾げて不思議そうに尋ねた

スイラも同じことを思っていた


金髪のイノセンス適合者のシスター

ナーラとかいう女の力を、窓越しではなく直接見ることができる良い機会だった


それを何故―――?


ロードとスイラの言いたいことに気付いたらしい

Aは軽いステップでホールの中へ入り、くるりと一回転して両手を広げた


「だってさ、近くにいたアクマたちが壊れちゃうかもしれないでしょぉ」


ねぇ、と首を傾げて笑うAは、無邪気な少女そのものだった

この地獄のような場所で、不釣り合いな、穢れのない存在



異常すぎる光景に、ナーラの直感が警告を発する


―――あの子は、あの子たちは、危険―――




「ああ、なるほど」


疑問が解消したロードは、納得した、と笑った

スイラは、悪戯をした妹を見るような柔らかい微笑みを向けた


「A様、なんとお優しい」

「そうだねぇ」


崇拝の籠った視線がAへ降り注ぐ

A直属の部下であるスイラだけのものではない

自我を持ったアクマたちが、Aを見つめていた


「それに、破壊するんだから、別に見なくてもいいよね」


目を細めて、唇を釣り上げて、赤い舌がチロリと覗く



―――なにか、恐ろしいものを見た。


―――少女の姿をした、何か、恐ろしいもの。



先ほどまで耐えていた気持ち悪さを、ナーラはついに吐き出した

嗚咽混じりに零れる液体

冷ややかな視線が、黒髪の少女の隣にいる女性から注がれているのを感じる

それでも、止めることはできなかった

吐き出して、吐き出して―――


―――もう胃の中は空っぽだ



「さて、やっちゃう?」


Aが笑う


「もう少し遊ぼうよぉ」


ロードが笑う


「お2人とも、ほどほどになさってくださいね」


嗜めるようにスイラが口を出す


「もしお2人に何かあったら、と考えると、不安で仕方がありません」

「スイラは心配性だなぁ」


くすくす、くすくす

愛らしい笑い声が響く


「ボクは良い子だからね。スイラに心配かけないように、お仕事は早く終わらせるよ」


くすくす

くすくす


「あ、あなた、たちの―――」

「うん?」

「―――目的は…?」


悪魔が嗤った

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作者名:涼野 優 | 作成日時:2011年7月1日 20時

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