８１★ ページ1
俺の声かけにAさんはパッとこちらに顔を向けて、俺を視界にしっかりと捉えると目を見開き驚いた。
だけど、俺が近づくに連れてその顔はは悲しさ半分、腹立たしさ半分といった俺を拒むような表情に変わっていき…
「…何しにここまで？」
言い方も口調も刺々しい…。
そこまで拒絶される意味が俺にはわからない。
やっぱり土曜の出来事は夢だったのかと…。
「ククク…お前すげぇ髪型だな。」
この場でひとり余裕顔の松本は俺のボサボサの頭を見て笑った。
余裕がない自分…
余裕がある松本…
比べたってこれが俺なんだからしょうがない。
俺は俺で勝負するしかないんだ。
「Aちゃんも。本当は来てくれて嬉しいクセに。意地はらないの。素直になんな。」
そう言ってAさんの頭を撫でようとするから、その手を俺が掴んだ。
「Aさんに触んな。」
松本としばらく視線を合わせてたけど、小さくため息をつき俺の手を振り払った。
「他の男に触れられるのが嫌なら『付き合ってない』なんて嘘吐くなよ。お前がそう言ったって事はAちゃんが他の男に何をされても文句言えねぇんだぞ？」
「…わかってる。」
わかってるさ…
俺がどんなにバカだったかなんて…。
「そして付き合ってると思ってた好きな男にそう言われたAちゃんをどれだけ傷つけたか反省するんだな。」
「え…？どうしてAさんがその話…。」
松本から視線だけAさんに移すと今でも泣きだしそうに目を潤ませていて。
そう言えばさっきも松本は俺とAさんが付き合ってるって…
どうして知ってる？
「あの資料室の中にAちゃんがいたんだよ。わかっててあそこに連れてってお前を煽った。」
「は…？じゃ、じゃぁ…？」
「そう。俺とお前の会話をAちゃんは全部聞いてんだよ。」
だから総務課に行った時あんな態度を…
俺は自分の自信のなさでどれだけ大好きな女の子を傷つけてしまったのか…。
後悔してもしきれないほどに自分のヘタレさを恨んだ。
「俺はAちゃんと話して彼女の気持ちもわかったし、ちゃんと諦めもついた。」
罪悪感に項垂れる俺に松本は以前みたいに突っかかる言い方をせずに優しい口調のまま…
「お前らもうちょっと色々話した方がいいと思う。Aちゃんも素直に…ね？」
自分と松本の男としての器の差があまりにありすぎて松本の顔は見られなかった…。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1884人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
キミ(プロフ) - 糖度マックス！！こんなに甘やかされてみたいものです！ (2019年9月18日 23時) (
レス) id: 744bc54dd4 (このIDを非表示/違反報告)
しょうくん(プロフ) - 朝から幸せでデレデレなお二人(//∇//)ありがとう。もっと甘々糖度上げてもいいですよ(^^)翔さんの幸せな日が続きますように。また更新楽しみに待ってます(^ ^) (2019年9月18日 8時) (レス) id: 490943dac7 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - おはよぉーございます。ウザい翔くん大歓迎！もっともっとウザくても良いかな(笑)続きが楽しみです♪ (2019年9月18日 7時) (レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
しおなな(プロフ) - あゆママさん» 私も久々にここまで甘いカップルを書きましたよ（笑)やっぱり私はこういうのを書いてる方が性に合ってます。 (2019年9月18日 7時) (レス) id: b0600f2388 (このIDを非表示/違反報告)
しおなな(プロフ) - Fu--chanさん» それはもうすっごい濃いエスプレッソを飲みたくなるくらいの甘さだと思いますよ（笑)幸せそうでなによりです。 (2019年9月18日 7時) (レス) id: b0600f2388 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しおなな
| 作成日時：2019年3月4日 19時
