∬009 ページ10
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「その『伝統』っていうのを受け継げば、正式な生徒として認められるのね?」
「ああ。試練をクリアすれば、の話だけどな」
ディオがAの肩を掴む。
「A、行こう。こいつらを相手にする必要はない」
「……悪いけど、売られた喧嘩は買う主義なの」
Aはディオの手をどけて一歩前に出た。
取り巻きたちはニヤニヤ笑っている。
「その試練、受けて立つわッ」
「そうこなくっちゃあな。おいッ、あれを持ってこい!」
すると取り巻きの一人が、道のわきからラグビーボールほどの岩を持ってきて、大将の足元に置く。
大将はその岩を左足で踏んだ。
「我が校では代々、新入りは上級生の『靴磨き』をすることになっているッッ!!」
バァァ〜〜〜〜ァン!!!!――それは『靴磨き』!!
「なっ! Aに何をさせるだァーーーーッ!」
ジョナサンは大将に飛びかかろうとしたが、その両腕を取り巻き二人に押さえられた。
「ジョジョッ! あんたは手を出さないでッ! ……私の誇りは私が守る」
静かに岩の手前にひざまずくと、鞄の中からハンカチを取り出した。
『 !! 』
シルク素材のハンカチには、アクセントとして小粒の真珠が縫い付けてある。
取り巻きたちは息を殺した。
「……おい見ろよ! 真珠だぜェ……!」
大将は鼻で笑う。
「フン。どうせ見えを張るためのニセモノだろーが。
さ、早く磨いてくれるかな? 空が映るほどピカピカにね、Aくゥん」
「…………」
革靴のつま先は擦り減っていて、土埃を被っている――『ピュッ!』
Aは大将の靴に『唾』を吐きかけたッ!
予想外の行動に、一同の視線が凍りつく。
「てめえッ! 何しやがるッ!」
Aは立ち上がると、淡々とした口調で言った。
「あら、『ワックス』をつけなければ磨けないでしょう?
あんたの靴にはそれで充分よ」
「この女ァッ!!!!」
Aはハンカチを持った腕をスッと横に伸ばし、手を広げてみせた。
「パサリ……」地面にハンカチが落ちる。
「この真珠がニセモノだというのなら、手に取って確かめてみるといい! そのハンカチは拾った方に差し上げますわ」
Aはクルリと背を向ける。
「コラーッ! 待ていッ!」
一方、取り巻きたちはハイエナのようにハンカチへ群がった。
「おれに寄こせッ」
「いいや! おれのハンカチだッ!!」
「なァ! 売っ払おうぜッ」
「おいッ、破けるッ! 破けるッ!」
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推しの命は私の命 - ジョナサン空気( ゚இωஇ゚) (10月15日 15時) (レス) @page43 id: 0046fb2d1c (このIDを非表示/違反報告)
油電(プロフ) - 黒猫歳花さん» コメありがとうございます…!そう言っていただけて嬉しいです(*´ω`)これからも、胸に刺さるキュンキュンを目指しながらお送りしますッ (2018年5月4日 23時) (レス) id: 95fd139937 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫歳花(プロフ) - はじめまして、この作品を読んでいるとディオにキュンとしっぱなしで楽しいです!これからも頑張ってください(*^▽^*) (2018年5月4日 20時) (レス) id: ae43b29bb1 (このIDを非表示/違反報告)
油電(プロフ) - おバカな傀夢さん» ありがとうございます笑 ディオのキャラが崩壊していないか不安でもあります(汗)お話も中盤にさしかかって参りました…! 引き続きよろしくお願いします(*^-^*) (2018年5月4日 12時) (レス) id: 95fd139937 (このIDを非表示/違反報告)
おバカな傀夢(プロフ) - おおっ!?やっと…やっと気が付いたかッ!ディオ〜!!大好きだ〜!!油電様も大好きです笑 (2018年5月3日 22時) (レス) id: 5ff30031ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:油電 | 作成日時:2018年4月1日 21時