∬025 ページ27
その夜、食堂にて。
召使がディオの目の前に料理の皿を置く。
とろけそうな赤身の、分厚いステーキ――しかし、ディオの機嫌は悪かった。
――(左手がぐるぐると包帯に巻かれていては、フォークが持てないじゃあないか……クソ、美味そうに乗ってる脂に嫌味を感じる)
すると、ディオの隣に座っていたAが「あら、」と口を出す。
フォークをくるくると振りながら。
「ディオ、私が『あーん』してあげようか?」
語尾がルンルンしているAとは反対に、ディオは固まってしまった。
「こら。A、やめんか……」
「あははっ! 冗談ですってば! ジョージおじ様っ」
ジョースター卿は小さくため息をつく。
「だが、包帯が巻かれていては食べづらいであろう。A、ディオのステーキを食べやすい大きさに切り分けてあげなさい」
「はァ〜〜い」
ニッコリ返事をすると、体ごと椅子を引きずって、ディオの席に横づけした。
Aはステーキの上でナイフをこぎながら、お姉さんぶる。
「さてさて、ディオ坊ちゃまの一口はどれくらい小さくしましょうか〜っ」
「おい、子ども扱いするなよ」
思わず言葉遣いが乱れた。
「はーい、ディオ様っ」
「…………」
Aが切り分けてくれた正方形の欠片にフォークを突き刺し、口へ運んだ。
――(なんだ? あまり味がしない)
ディオはふっとAのほうを見た。
その横顔は薔薇色を帯びている。
――(しかし……この女を支配できるのも、そう遠くはないな)
ディオは水の入ったグラスにくちづける。
『グビッ!』
ノドの手前で引っかかっていた一口を、無理やり食道に流し込んだ。
・
・
・
夜も深まるころ――ぽつり――灯りの消えない窓が浮かんでいる。
その部屋の中――上機嫌なハミングを、ベッドの下に転がる毛糸玉が聴いていた。
「ふふふ、男の子ってみんな同じ反応するのよね。『子ども扱いするなよ』だってさ!」
Aは握っている編み棒に向かって、三角の舌を出した。
「でもまさか、この私が編み物をするなんて……」
Aはディオのことを思い浮かべる。
今日、ディオと馬に二人乗りしたこと。
後ろから手をまわされ、ふわっと抱きしめられた。
背中で感じる、二つの心臓の重なり。
ディオの両腕も、自分のはだけた膝も、同じ夕焼けに染まっていて――
「きゃーーッ!」
Aは勢いよく跳ねると、枕に顔を沈めた。
――今晩はうつ伏せで寝よう。
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推しの命は私の命 - ジョナサン空気( ﾟஇωஇﾟ) (10月15日 15時) (
レス) @page43 id: 0046fb2d1c (このIDを非表示/違反報告)
油電(プロフ) - 黒猫歳花さん» コメありがとうございます…!そう言っていただけて嬉しいです(*´ω｀)これからも、胸に刺さるキュンキュンを目指しながらお送りしますッ (2018年5月4日 23時) (レス) id: 95fd139937 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫歳花(プロフ) - はじめまして、この作品を読んでいるとディオにキュンとしっぱなしで楽しいです！これからも頑張ってください(*^▽^*) (2018年5月4日 20時) (レス) id: ae43b29bb1 (このIDを非表示/違反報告)
油電(プロフ) - おバカな傀夢さん» ありがとうございます笑 ディオのキャラが崩壊していないか不安でもあります(汗)お話も中盤にさしかかって参りました…! 引き続きよろしくお願いします(*^-^*) (2018年5月4日 12時) (レス) id: 95fd139937 (このIDを非表示/違反報告)
おバカな傀夢(プロフ) - おおっ！？やっと…やっと気が付いたかッ！ディオ〜！！大好きだ〜！！油電様も大好きです笑 (2018年5月3日 22時) (レス) id: 5ff30031ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：油電 | 作成日時：2018年4月1日 21時
