第十夜 センリツ ページ10
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『幻想即興曲』――このメロディに耳を澄ますと 深い迷路に入っていくみたい。
「さっきよりも音に近づいたぞ……」
ジョルノが路地の曲がり角を右へ/続いて私も右へ。
目に飛び込んできた景色＝クリーム色の高い塀とそれを取り囲む植木たちの頭。
ピアノの旋律――大きな鉄の門――庭の数メートル先――古ぼけた建物＝洋館
「あ……あっ……あぁ…………!! 」
私は 小刻みに震えるアゴを手でおさえた。
7歳のころから何度も見ていたものが、
夢の中に何度も出てくる洋館が、いま私たちの目の前にたたずんでいる。
ジョルノは 地面に落ちている金属製のプレートを拾い上げた。
「これは表札だ…『ホテル・クロック』と書かれている。
この建物…見た目は洋館だが、中は宿泊施設になっているようですね」
――『ホテル・クロック』?
『ギィィィィ…………』
ジョルノは鉄の門を押した。
錆びたその音が 保健室で見た悪夢を予感させる。
「ジョルノくんッ! 行ってはダメっ!
その館に入ったら 何かやばいことが起こるッ」
ジョルノは身体を館に向けたまま、横顔でチラリと私を見た。
「やばいことって? 」
「よくわからない…でもッ、とにかくダメ!
このピアノの音はきっと罠よ…館に入ってはダメなの」
「…………」
ジョルノは唇を歪ませた。
「さ、さっき路地から出られないって言ってたけどさっ、
冷静になればきっと出られるよ…! 抜け道があったりして…
今度はジョルノくん一人じゃなくて、私と一緒に来た道を戻ろう?
きっと出られるからさ! 」
ジョルノは静かな眼差しを 門の先の洋館に向けた。
「このジョルノ・ジョバァーナには夢がある」
「へっ? 」
「ぼくの未来のためにも、この場所にのん気に閉じ込められているわけにはいかないんだ。
…ぼくはこれからピアノを弾いている人物と会う。
そして道から出る方法を教えてもらう」
「で、でも…」
「Aさん、道から出られるというのなら君一人でやってみるといい。
……ぼくはこの先に進む」
ジョルノは洋館のほうへ歩き出す。
『ギギギィィ…』
厚い扉が彼を飲み込んだ。
『バタム』
せっかく忠告してあげたのに…
――『道から出られるというのなら君一人でやってみるといい』
道から出られないですって? そんなはずがないわ。
私は館から聴こえるピアノの旋律に背を向けると、駆け足で広場に戻った。
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油電(プロフ) - アカネさん» コメントありがとうございます!大変お待たせいたしました、更新しました…!これからもよろしくお願いしますm(__)m (2018年9月28日 23時) (
レス) id: 95fd139937 (このIDを非表示/違反報告)
アカネ(プロフ) - 続きを楽しみにしてます。頑張って下さい！ (2018年9月22日 22時) (レス) id: aae61b7350 (このIDを非表示/違反報告)
油電(プロフ) - アカネさん» コメントありがとうございます…!自分なりに丁寧に書いているので、ペースが遅いですが、これからも応援よろしくお願いしますm(__)m (2018年7月31日 23時) (レス) id: 95fd139937 (このIDを非表示/違反報告)
アカネ(プロフ) - すごく面白いです。続きを期待してます。 (2018年7月31日 19時) (レス) id: aae61b7350 (このIDを非表示/違反報告)
油電(プロフ) - ほとまさん» ありがとうございます!! もっとジョルノのかっこよさが伝わるように、更新がんばります(*^-^*) (2018年4月27日 9時) (レス) id: 95fd139937 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：油電 | 作成日時：2018年3月21日 11時
