無感情ブラック【刀剣乱舞】 (ページ33)

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「……どういうこと？」

「そのまんまだ。他の奴らは何処かしら異常があるのに、おまえにはそれがない。見る限り頭がおかしくなっていたりとかはないし、かといって怪我をしているでもない。この部屋で唯一普通でいることに、違和感を覚えたわけさ」

　俺っちがそういうと、乱はまた数度瞬きをした。浅く息を吐いて、「気づいて欲しくなかったんだけど、」と笑う。

「うん、まあ、そうだよね。ボクもおかしいって思うよ。まさか簡単に手に入るボクみたいな短刀が、一人だけ主さんの迫害を免れるなんて」

　大将にはああいったが、実をいうと、俺っちは倉庫に来た者の会話を聞いていただけだったので、そこまで深くここの事情を把握しているわけじゃない。

　ただ、怪我をしても手入れをしてもらえなかったり、過剰に出陣を要求されたり、八つ当たりに仲間を折られたり──と、そういったようなことを聞いたことがある。現に、あの倉庫に人が来るのは、同胞の亡骸を納める時だけだった。

「迫害を免れた」ということはつまり、乱だけは“そういった扱い”をされなかったということだろう。前任者にとって乱は、それほどまでに特別な存在だったということか。それとも……

「……それに、それだけじゃない。ボクはね、一人だけ主さんの傍に居られたんだよ。本丸の奥、審神者部屋にね。最も、そこにしかボクは居られなかったんだけど」

「……どういうことだ？」

「主さんが、ボクが離れることを許可しなかったんだよ。まあボクは懐刀だし、それは別に構わないんだけどね。出陣も許可されないのにはちょっと困ったかも。主さんの命令だったから仕方ないけど」

「それだけ乱藤四郎に固執してたってことか」

「うん。……でも、乱藤四郎に固執してるっていうよりは、乱藤四郎の人型に執着してたみたい。傍には居たけど会話は許されてなかったから、ボクもよくは知らないんだけど……現世の洋服を着せられたりしたかな」

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