126話 ページ30
アランの言葉に反応するように、アオバはきゃっきゃっと手を伸ばした。
今の今まで死んだという言葉に心が折れそうだったというのに、アンナの
「何処にいたの！心配したでしょ！！」
「うんとねぇ・・・、わかんない！」
はて？と、首をかしげる動作。
言葉使い。
何より、お姫様気質のアオバが抱っこされても笑っている。
アランだ。
「何がわかんないよ！ばかぁあ！！」
「ちょ！なんなの！」
「やさしいねぇちゃん、ぶきみ〜ーー。ねー。アオバ。」
怒り出したアンナを横目に、アオバへは弾けるような笑顔を見せる。
このシスコンぶり。
まさしくアランだ。
「本当にアランなのか？」
「おにぃちゃんだれー？」
アランから飛び出したとんでもない発言に、思わず、シンドバッドとアンナは顔を見合わせた。
「アラン？何言ってるの？『シンくん』でしょ？」
よく見て！と、シンドバッドの前に押し出されても、アランは首をかしげた。
「ぼく、『シンくん』しんない。ねぇねぇ。はやくおうち、かえろう？」
アンナは顔色を変えた。
どこも怪我をしている様子はないし、元気そうだけれど、頭でも打ったのだろうか。
「その前にどこから歩いてきたの？」
「うーんとぉお・・・、わかんない！」
さっきからそればかり
きっと、ウソをついているわけじゃない。
まさか、記憶が・・・、無くなってる？
紅明からもらった医学の本で読んだことがある。
外部からの強い
「アラン。俺を呼んだのは君だ。それもわからないのか？」
「ぼく、おにいちゃん、しんないもん！」
ぷぅっと頬を
《 バルバッド 》
今も会議が続いているであろう部屋に近づくことは許されず、Aは
「A様、シャロット様より帰国命令が再度届いております。どうか、帰路に。」
「私はここに残る」
「旦那様を思う気持ちは理解できます。ですが、A様の籍はアルパにあり、陛下の命令は絶対。お願いいたします。」
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