119話 ページ23
「あの金属器だ。」
「あ？」
「あの金属器が仲間に危険を知らせている。」
「はぁあ？仲間ぁあ？そんなもん、どこ・・・」
はっ！！
かつてソロモン王の元に集い、共に戦った『仲間』
それはつまり、全世界に散らばった金属器に、コイツが呼びかけてるってことか！？
アランの周囲で七色に光る星の１つが、アランに話しかけるように近づいてきた。
『アラン』
アランを労わるような優しい女性の声だった。
「だぁあれ？」
『私は、フェニクス。』
「ふぇにくす！？あのね、あのね！！ぼくのとーちゃんたちをなおしてほしいの！！」
『ごめんなさい。アランの魔力では島民全員を治すことは無理なの。』
アランは、しゅんっと
「ぼく、どうしたらいいの？」
チャムスは新たな王になったアランに体を
『アラン。まずは君の怪我を治すことが先決だ。』
「ぼく？」
『この空間では、僕の力で血を止めているけど、外に出たらそうはいかない。まずは君自身が回復しないと、どうにもならない。』
「ぼくだけなの？」
悲しげなアランの目を見れば、フェニクスもチャムスも『大丈夫』の一言を言ってあげたくなる。
けれど、ジンの力は王のルフに大きく左右されるのが、
こればかりはどうしようもない。
『アラン。チャムスは私達と全く違う力を持つジン。』
「ちがうの？」
チャムスの頭を撫でてやると、チャムスが嬉しそうに笑った。
『ええ。今、貴方は違和感なく私達とお話が出来ているでしょう？』
「うん」
『それは、他のジンと王では出来ない事なの』
「そうなの！？」
『僕は『音』のジンだから』
それはアランにとって、とてもとても魅力的な情報だった。
「こーえんくんをよぶべば、ふぇにくすは、ほんとうのちからがだせる？」
『ええ』
「ぼく、やる！！こーえんくんをはやくよばなくちゃ！」
『それは僕がやるよ。元々、僕の鳴き声は仲間に危険を知らせる為の声なんだ』
なかま？
不思議そうなアランの視線に気が付いたのだろう。
チャムスは、返す言葉が見つからなそうに目を伏せた。
「ぼくがいるよ！」
真っ直ぐなアランの声。
「ぼくがいる！」
強い眼差しとともに贈られた言葉。
ありがとう。という言葉は声にならなかった。
『アラン・・・、今の君の力では呼び出せるジンは２体がギリギリだ。それ以上を呼んだら・・・、君は・・・』
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