109話 ページ13
白龍の攻撃を受けたアルガン島は、大きなドームに包まれ、全くの無傷状態だった。
「チッ!魔法具か」
「ずいぶん念入りだなぁ。
それもそのはずかと、ジュダルは笑う。
何故だか知らないが、この島は紅炎の一人息子の
他の場所よりも
「お。どうやら、紅輝はバルバッドに
「紅輝は本来の姿を忘れた、紅炎のコマに過ぎない」
「ははは!そうだよなぁ。昔っから、紅輝は大切に育てられたもんなぁ。お前と違って」
宮の隅に追いやられ、肩身を
それに比べ、帝国一と呼び声高い
俺のはずだった。
あの日が当たる場所にいるのは俺のはずだった。
いや。そんな感情さえも、くだらない。
「黙れ。ジュダル」
「おー。おっかね」
ケラケラ笑うジュダルと白龍の前に、
煌の文官は、丁寧に膝を折った。
「白龍様、神官殿。私は紅輝様の留守を任されております、関と申します。本日のお越しの目的をお聞かせ願えませんか」
茶番だ。
たった今、島を攻撃した人間に何をしにきたのかと尋ねる神経にジュダルは笑みを浮かべた。
「白龍は煌帝国の皇帝だぜ?自分の国の領地を見にきちゃ悪いのかよ」
「恐れながら、この島は煌帝国の領土ではなく、同盟国となっております。」
「へぇ。紅明お得意の口先だけ同盟か?ご苦労なこった」
皮肉たっぷりなジュダルに関は表情を崩さない。
「紅輝様ご不在の今、アラン様が島を
「アラン?誰だ、そりゃ」
「アラン様は、御二方の入国はまかりならぬと、拒否なさいました。アラン様が否とおっしゃる以上、お通しするわけには参りません。お引き取りくださいませ」
ジュダルの顔に
「おいおい。白龍は皇帝だって言ってるだろぉ?そんなヤツより白龍の言うこと聞いといたほうがいいんじゃねぇの?」
関の家族は煌帝国本土にいる。
家族の命は自分達が握っている。それでもいいのか。
明らかな
「正直に申し上げます」
関は始めて顔を上げ真っ直ぐ白龍を見据えた。
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