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58話 ページ8

「ごめん。勝手なことばかりして・・・、わがままばかりで、ごめんなさい」

本当は。
1年前に言わなければならない言葉だった。
あの時。
きちんとシンドバッドの帰りを待っていれば。

罵声(ばせい)でもいい。
軽蔑(けいべつ)でもいい。

この言葉を手紙などではなく、目を合わせて言っていれば、何かが大きく変わっていたのかもしれない。

ちょっとの勇気がなかったせいで、シンドバッドを裏切ったのは私。

()かれることに良いも悪いもないだろう」

事もなさげに言ったシンドバッドは、熟睡中(じゅくすいちゅう)のアランを優しく見つめた。

「『ぼくのとおちゃんは、せかいでいちばんカッコいいんだ』」
「ああ、アラン君?完全なお父さん子だから」
「俺も言ってやればよかった。父さんに」

シンドバッドが幼い頃、戦死したと聞いた。
切なげで少し羨ましそうな視線。

「言わせてあげればいいよ。シンドリアの子供達に」

シンドバッドが言えなかった分、シンドリアの子供達が。

「ああ。そうだな。そうしよう」

少し嬉しそうに笑ったシンドバッドは、アランとAを守るように腕を回した。

まるで、仲直りをしようと言われているような気分になって、Aはほんのわずかでもこの王の心が安らぎますようにと願った。


《 アルガン島 》

泣きもせず、青い目をした赤ん坊はじっと月を見上げていた。
アオバが、寝返りを打った拍子に、音もなく小さな手が隣で眠っていたコレットの顔に直撃した。

「ぅー・・・」

迷惑そうな声。
コレットは、まだ寝返りを打つことができず、自分でアオバの手を退けることができない。
とても不満そうだが、泣くことなく、じっと我慢していた。

『鍵は無事に特異点の元に渡ったみたいだね』

闇の中から姿を見せた人影は、向こう側が透けている。
気が弱そうな男だった。
ひょろっとした背丈に薄い体。
全く頼りなさげな男をナムと言う。

『ええ。でも、事態は悪化の一途を辿(たど)っているわ。チャムスが止めておいてくれた、私とナムの力では、これが精一杯』

今度は(くや)しそうな女の声だった。
流れるような金色の髪と雨上がりの澄んだ青。
青い目の娘だった。

「うー・・・、ぁあ〜」

アオバが手を伸ばすと、くしゃっと女の美しい顔が(ゆが)んだ。

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設定タグ:マギ , 練紅炎   
作品ジャンル:アニメ
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アオイ(プロフ) - めっちゃ嬉しいですwいつも素敵な文章ありがとうございます(*^^*) (2018年2月19日 21時) (レス) id: 07a1761182 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - アオイさん» はい。久しぶりに登場です。宜しくお願いしますW (2018年2月18日 18時) (レス) id: 54f2f8f6b1 (このIDを非表示/違反報告)
アオイ(プロフ) - もちろん紅炎ですね笑笑 (2018年2月18日 14時) (レス) id: 07a1761182 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - アオイさん» ありがとうございす!ちなみ一番のお気に入りは誰ですか? (2018年2月17日 18時) (レス) id: 54f2f8f6b1 (このIDを非表示/違反報告)
アオイ(プロフ) - いつも更新楽しみにさせてもらってます!!これからも頑張ってください!! (2018年2月17日 17時) (レス) id: 07a1761182 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:飛燕 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年11月11日 22時

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