56話 ページ6
「しょうがないから、ぼくがいっしょにはいってあげるね!おとこは、はだかでかたりあうんだ!」
「お前、どういう教育してるんだ」
俺が子供の頃でも、こんなに図々しくなかったとかブツブツ言っている。
年寄りくさい・・・。
「シンくん。ぼく、おなかへったぁ」
はぁあああ。
盛大なため息を付いたシンドバッドは食事を5人分、至急用意するように言い付けたのだった。
くぅくぅ、可愛らしい寝息を立てて眠ったアランの髪を撫でながら、Aは置いてきた1人息子を想った。
あの泣き声から、1日くらい解放されたいと思っていたが、いなければいないで寂しいものだ。
「どこに隠れていた」
振り返ると、不機嫌そうに酒を飲むシンドバッドが、
「・・・何に対してそんなに怒っているの?紅炎の子供を産んだから?そもそも紅炎を選んだから?」
自分で言い出しておいてなんだが、どれも違う気がする。
「練 紅炎がどういう男か知っているはずだ。ヤツは、不要な戦を繰り返している。我々の信条とは正反対にある存在だ。」
「だから?自分が正義で紅炎が悪だ。とでも言いたいの?」
そうかもしれない。
世界の大半はそう思っていても不思議ではない。
でも、正義か悪かと聞かれれば断じかねる。
ただ、信念が違うだけ。
戦がない世界。
目指している先は同じだけれど、その術が異なっているだけだ。
「では、問う。シンドバッドと練 紅炎。どちらが世界の王としてふさわしい」
ふっと、笑いがこみ上げた。
よくもまぁ・・・。
「シンドリア一国を手に入れても。七海の覇王と呼ばれても。まだ足らないの?」
「なんだと?」
そっか。私はこんなつまんない世界にいたのか・・・。
「要は、土地に線を引いて勝手に権利を主張しているだけじゃない。紅炎とシンドバッド。モガメットとシェヘラザード。一対一だって、同じ考えを持つ人間なんていないんだから、我を通そうとすれば
「そんなことは言われなくてもわかっている」
「わかってない」
「そうかー。そういう考え方もあるのか〜」て、折り合いを付けた先に最善があるのではないだろうか。
「王様なんか何人いたっていいよ。意見だって衝突すればいいよ。気がすむだけ揉めればいいじゃない。大事なのは『戦争だけは起こさない』その共通意識だけなんじゃないの」
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アオイ(プロフ) - めっちゃ嬉しいですwいつも素敵な文章ありがとうございます(*^^*) (2018年2月19日 21時) (レス) id: 07a1761182 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - アオイさん» はい。久しぶりに登場です。宜しくお願いしますW (2018年2月18日 18時) (レス) id: 54f2f8f6b1 (このIDを非表示/違反報告)
アオイ(プロフ) - もちろん紅炎ですね笑笑 (2018年2月18日 14時) (レス) id: 07a1761182 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - アオイさん» ありがとうございす!ちなみ一番のお気に入りは誰ですか? (2018年2月17日 18時) (レス) id: 54f2f8f6b1 (このIDを非表示/違反報告)
アオイ(プロフ) - いつも更新楽しみにさせてもらってます!!これからも頑張ってください!! (2018年2月17日 17時) (レス) id: 07a1761182 (このIDを非表示/違反報告)
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