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89話 ページ43

「ここは紅炎様の本拠地(ほんきょち)。けれど、唯一の妃殿下であらせられる章妃様はご不在。ならば、バルバッド城の女主人は貴方様です。」

次に(まばた)きをしたのはAの方だった。

「なさりたい事があるのならば、なさって下さい。貴方様に出来ないのならば、誰にも出来ません」

私に出来なければ、誰にも?
微笑む翠の目をじっと見つめた。

「戦争を止めたいと言ったら?」

止まる?
止められる?

僅かな希望の光に、胸が熱くなった。その時。

「1つお尋ねします。」

翠の声はその光を()くほどの厳しかった。

「紅炎様が戦をやめると言えば、この世から戦は本当に無くなるんですか」
「え?」
「だとしたら、すでに紅炎様は兵を引き、内政にお勤めになられていると思います。」

思ってもみない角度からの理論だが、理解はできた。
そもそも、三ヶ国の統一を果たした煌が西に侵攻を始めたのは、『世界を統一し、戦をなくす』という信念が元になっている。

世界を統一しなくても、戦の火種(ひだね)がなければ、それはそれで良しとするかもしれない。

「煌が戦を止めてもどこかで戦は起こる。そうご判断だからこそ、紅炎様は兵を進めるのではないでしょうか。」

それは。
それは、煌だけの正義だ。

「間違えないでください。紅炎様や紅明様は何よりも戦を憎んでいます。誰も失わなくてもいい、平和な世を切望しているのは殿下達です」
「だから、戦う?」
「はい。多くの兵士達が紅炎様のお考えに賛同し、命を()す覚悟です」

平和を望むと言いながら、戦を起こすという。
誰も失いたくないという『誰』に自分が当てはまることに気づかないまま。


なんとなくふさぎ気味だった気分を入れ替える為、Aはミネだけを連れて城の探検に出ていた。

「はぁあ、なんだかなぁ・・・」
「先ほど翠殿が言っていた事ですか?」
「うん。」
「私達は戦を知りませんから、他人事ですけれど、恐ろしいことだという事は分かります」
「そうだよねぇ。私もそうだよ」

アルパで戦は起こらない。
何故なら、国民が全くそれを望まないからだ。

戦を起こすくらいなら、冬に備えて保存食を(こしら)える。
武器に金を使うくらいなら、家畜を一匹でも増やす。

アルパの冬を乗り切ることがいかに難しいか。
それが骨身にしみているAとミネには、わざわざ労力を費やして戦をする意味がさっぱりわからない。

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設定タグ:マギ , 練紅炎   
作品ジャンル:アニメ
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アオイ(プロフ) - めっちゃ嬉しいですwいつも素敵な文章ありがとうございます(*^^*) (2018年2月19日 21時) (レス) id: 07a1761182 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - アオイさん» はい。久しぶりに登場です。宜しくお願いしますW (2018年2月18日 18時) (レス) id: 54f2f8f6b1 (このIDを非表示/違反報告)
アオイ(プロフ) - もちろん紅炎ですね笑笑 (2018年2月18日 14時) (レス) id: 07a1761182 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - アオイさん» ありがとうございす!ちなみ一番のお気に入りは誰ですか? (2018年2月17日 18時) (レス) id: 54f2f8f6b1 (このIDを非表示/違反報告)
アオイ(プロフ) - いつも更新楽しみにさせてもらってます!!これからも頑張ってください!! (2018年2月17日 17時) (レス) id: 07a1761182 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:飛燕 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年11月11日 22時

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