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84話 ページ38

思ってもみなかった。
あの子の存在は(うと)まれたり、利用されたりするだけじゃない。
こんなに。
こんなにも望まれたものだった。

「子供がどこにいようが練家の血は繋がっている。それこそが(とおと)い。」

伸びてきた手がそっと頬を()でてきた。
(いつく)しまれているのだとすぐにわかる。

これが、アラン君を投げ飛ばした手と同じ手なのだろうか。

「・・・あのね、毎朝庭の散歩、一緒にしたいな」
「ええ。宜しいのではないでしょうか。ご夫婦の仲が宜しいのは我々臣下にとっても喜ばしい事です」

軍議があると言うことで、紅明は中座したため、二人きりの時間を過ごすことになった。
途端、紅炎はこれまでの時間を取り戻そうとするように強く強く。それこそ隙間(すきま)もないのではないのかと思うほど、強く抱きしめてきた。

「泣いているのか」
「怒らないで聞いてくれる?」
「ああ」

こうしているとアルガン島の、あの家にいるようだ。

「後宮って最低って思ってた。役割はわかっているし、存在を否定するつもりはないけど、女を動物みたいに扱っているような気がして。紅炎もそれを持っているんだなって思うと、ううん。他の女の影は考えないようにしてた」

章妃の存在を知っても、取り乱さなかったには意地にすぎない。

私を好きだと言っても、他の女が正式な妻として紅炎に寄り添っている。
国内外から認められた、美しく完璧な妻。
紅炎も彼女に対しては、態度が違っていた。

勝ち負けじゃないとはわかっていても、いつも章妃が優位に立っている事を意識せずにはいられなかった。

「でも、彼女たちの存在が、だれだけ大事な事なのかわかった。」

そういうことじゃない。
誰が上とか下じゃない。
きちんと血をつなぐ。
あるべきものがあるべき地位に付く。

それだけで、戦の火種(ひだね)が一つ減るのだ。
そして、紅炎はそれから逃げなかった。

「あの子を私にくれてありがとう。大切に育てる。必ず、必ず会わせるから」
「ああ。その日を生きがいに。子に恥じぬ父となろう」



アルパ国は乾季(かんき)真っ只中(まっただなか)だった。
雨が全く降らなくなるこの時期作られるものが乾燥芋。
芋の中の水分を一切抜いてしまうので、長期の保存食になる。

幸い干からびる湖などはなく、順調に国政は進んでいた。

「コレット〜、パパだよ。どうしたんだい。ママがいないからご機嫌(ななめ)めなのかい?」

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設定タグ:マギ , 練紅炎   
作品ジャンル:アニメ
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アオイ(プロフ) - めっちゃ嬉しいですwいつも素敵な文章ありがとうございます(*^^*) (2018年2月19日 21時) (レス) id: 07a1761182 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - アオイさん» はい。久しぶりに登場です。宜しくお願いしますW (2018年2月18日 18時) (レス) id: 54f2f8f6b1 (このIDを非表示/違反報告)
アオイ(プロフ) - もちろん紅炎ですね笑笑 (2018年2月18日 14時) (レス) id: 07a1761182 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - アオイさん» ありがとうございす!ちなみ一番のお気に入りは誰ですか? (2018年2月17日 18時) (レス) id: 54f2f8f6b1 (このIDを非表示/違反報告)
アオイ(プロフ) - いつも更新楽しみにさせてもらってます!!これからも頑張ってください!! (2018年2月17日 17時) (レス) id: 07a1761182 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:飛燕 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年11月11日 22時

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