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72話 ページ26

ふと目を覚ますと、アランは夜空の中にいた。
きらきら光る星に手を伸ばすと、虹色に輝き、アランの手のひらに収まった。

むふふっと上機嫌に笑ったアランは、あまりにも綺麗(きれい)なので、家族への土産にしようともう一つに手を伸ばしたところで、誰かの視線に気がついた。

「だぁあれ?」
「我が名は『チャムス』信念と静寂(せいじゃく)のジン」

チャムスは、凛々(りり)しい肢体(したい)を持つ牡鹿(おじか)だった。
立派な角が目を引く。

それは、聞き覚えのある声だった。
夢の中で、『黒い太陽』について語った声と同じ。

「じん、ぼくしってる!『あしゅたろす』とぉ、『ふぇにくす』とぉ、『あがれす』!もっといっぱいしってるよ!!」
「幼き器よ。『王』の力を望むか?」
「う?」
(なんじ)が望めば我はそれを与えよう。」

言われていることが難しくてイマイチよくわからない。

「うんとぉー・・・。ぼくも、こーえんくんたちみたいにヘンシンできるってこと?」
「それを望めば」
「ぼく、いんない」

間髪(かんぱつ)いれずアランは答えた。
あまりの決断の早さに、チャムスも少し意表を突かれたような顔をしている。

「『王』の力が惜しくないのか?」
「ぼく、せいぎのみかたになるの。おうさま、なんないから、いんない」

いや。そうじゃなくて。と、言いたいが、どう言ったら良いのかチャムスにはわからない。
けれど、アランははっきりと意思を表明した。

「いらない。それが答えか」
「うん!」

力一杯頷いたアランに、チャムスがふっと笑った気がした。

「汝の言う『正義の味方』という存在は、揺るがぬ信念を貫く、厳しく孤独な道。それでもその道を行くか」
「うん!ぼく、とうちゃんみたいなカッコイイおとこになるんだ!」
「承知した。」

周囲の星々がいきなり輝き出したかと思えば、きゃっきゃっと楽しげな笑い声が聞こえた。
振り返れば、赤ん坊がご機嫌に笑っていた。

「アオバ?お迎えに来てくれたの?!」
「ぁあー。うー」


正義を貫く清廉(えいれん)稀有(けう)な存在。
それが騎士。

誇り高いその姿に誰もが(あこが)れ、敵からさえも尊敬の念を抱かれる存在だが、それ故に嫉妬(しっと)や恐怖という負の感情を呼び込みやすい。
古今東西(ここんとうざい)、騎士の最後に悲惨(ひさん)な話が付きまとうのはそれ故だ。

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設定タグ:マギ , 練紅炎   
作品ジャンル:アニメ
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アオイ(プロフ) - めっちゃ嬉しいですwいつも素敵な文章ありがとうございます(*^^*) (2018年2月19日 21時) (レス) id: 07a1761182 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - アオイさん» はい。久しぶりに登場です。宜しくお願いしますW (2018年2月18日 18時) (レス) id: 54f2f8f6b1 (このIDを非表示/違反報告)
アオイ(プロフ) - もちろん紅炎ですね笑笑 (2018年2月18日 14時) (レス) id: 07a1761182 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - アオイさん» ありがとうございす!ちなみ一番のお気に入りは誰ですか? (2018年2月17日 18時) (レス) id: 54f2f8f6b1 (このIDを非表示/違反報告)
アオイ(プロフ) - いつも更新楽しみにさせてもらってます!!これからも頑張ってください!! (2018年2月17日 17時) (レス) id: 07a1761182 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:飛燕 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年11月11日 22時

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