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71話 ページ25

「紅炎!」

喜びの勢いそのままに、声を上げると、そこはマグノシュダットではない、よく見知った場所だった。

「・・・いえ・・・?」

何度周囲を見回しても同じ。
ラップ国の自宅だ。

「さて、僕は(まき)をくべよう」

何事もなかったように、シャロットが暖炉(だんろ)に向かって歩き出すのを呆然(ぼうぜん)と見送った。

「ひどい・・・。」

なんで?
なんで!!!

(ひど)い!!なんで?そこにいたのに!一言くらい!!!」


紅炎はこちらに向かってきていた。
きっと助けに来てくれた。
ならば、一言くらい言いたかった。

大丈夫だよ。でも、またね。でも、なんでもいい。

もう一度。
もう一度言葉を交わしたかった!!



「必要ないよ」


な・・・。

なに?
何それ!!!

「私は!私は・・・、会いたかった。ずっとずっと会いたかった!!!」
「僕の姿を見られるわけにはいかなかった。」
「そんなの知らないよ!」

ソファにあったクッションを片っ端から投げつけても、特にシャロットは何も言わなかった。

「許して?」

許さない!
絶対に許さない!
大っキライ!!



体を丸めたまま座り込んでいると、部屋に明かりが灯り、ポカポカ部屋が温まりだした。



「さて。僕はコレットを迎えに行ってくるよ」

ことん。


小さな音を立ててテーブルに置かれたのは、白い湯気を立てたココアだった。


「ついでにマグノシュダットの状況と、アランが無事に戻れたかも確認してこよう」


あ・・・。

「アルガン島に行くの?」
「まあね。一緒に行くかい?」
「昔、自分以外は能力で移動できないって言った」

口を(とが)らせると、シャロットは肩をすくめた。

「危険性が高いから、そういうことにしておいたんだよ。実際は、僕から離れなければ、僕の一部とみなされるのさ」

その為に、シャロットはマントを羽織(はお)っていたというわけだ。

「待ってる」
「いいのかい?」
「うん。その代わり、お願いね・・・」

これだけの時間が経っても、世界はある。
と言うことは、事態は無事に収拾(しゅうしゅう)されたのだろう。


シャロットが消えた瞬間。
しんっとした空間に一人ぼっち。


次に紅炎に会えるのはいつだろう。
重い体を引きずって、毛布に手を伸ばす。

頭からそれをかぶると、不思議と安心感に包まれた。

「ひっく。ふぇ・・・・。うぅうう・・・」


紅炎。

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設定タグ:マギ , 練紅炎   
作品ジャンル:アニメ
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アオイ(プロフ) - めっちゃ嬉しいですwいつも素敵な文章ありがとうございます(*^^*) (2018年2月19日 21時) (レス) id: 07a1761182 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - アオイさん» はい。久しぶりに登場です。宜しくお願いしますW (2018年2月18日 18時) (レス) id: 54f2f8f6b1 (このIDを非表示/違反報告)
アオイ(プロフ) - もちろん紅炎ですね笑笑 (2018年2月18日 14時) (レス) id: 07a1761182 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - アオイさん» ありがとうございす!ちなみ一番のお気に入りは誰ですか? (2018年2月17日 18時) (レス) id: 54f2f8f6b1 (このIDを非表示/違反報告)
アオイ(プロフ) - いつも更新楽しみにさせてもらってます!!これからも頑張ってください!! (2018年2月17日 17時) (レス) id: 07a1761182 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:飛燕 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年11月11日 22時

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