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5話 ページ5

「君は自分の国が(あなど)られてもくやしくないのかい?」
「ですが、利益は大事です。原住民がクズだと捨ててしまうものにも価値があるのならば、輸出する価値はあるのではないかと」


はぁ・・・。
シャロットは頭を抱えた。

確かにそういう考え方も間違いではない。
だが、『国』を通す以上、それはありえない。
一体いつそれに、この男は気が付くのか・・・。

「君は今すぐ転職を考えたほうがいい」
「お、お許しください!陛下!!!」

またこのパターンか。
頭痛がしそうな予感に、こめかみを()みほぐしていると、宰相(さいしょう)が影のように近づいてきた。

「陛下。お時間です。ココット様をお通ししても宜しいでしょうか」
「構わないよ」

平伏(へいふく)していた男はすがりつく勢いで、頭を床にこすりつけた。

「陛下!お許しください!どうか!どうか!!もう一度」
「もう、君のもう一度は聞き()きた。下がりたまえ」

結局引きずられるように去っていた男の代わりに、ココットが入室した。

「兄上。少し早急すぎませんか。A様がいたらお怒りになりますよ」
「いない人間の話などしても仕方がないよ。」

兄弟ならではの(くだ)けた口調に、宰相は姿を消した。
さすが宰相にまで上り詰めただけのことはある。
察しがいい男だ。

「いい加減教えていただけませんか。A様をどこにお隠しになられたのです?」
「ココット。僕の可愛い弟。君は僕に恋人の話を打ち明けてくれたことはあるかい?」

不満そうな沈黙に、シャロットは笑った。

「それと同じことだよ。」
「どこがですか」

シャロットはAの行方を知らないと言わなかった。
けれどその言葉の真偽(しんぎ)さえ、ココットには検討(けんとう)もつかない。

ただ、シャロットはAの為ならば動く。
それだけは間違いなかった。


今や世界中がAの行方を探っている事はココットも知っていた。
恐らく、この国にも偵察者(ていさつしゃ)が紛れ込んでいることだろう。
何故、彼らがそれほどまで執拗に彼女の行方を追うのか。

A様。何処にいらっしゃる・・・。
何故、自分があなたの元に戻るまでお待ち下さらなかった。

別れの言葉もないまま、突然主人を失った、やるせないあの思い。

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設定タグ:マギ , 練紅炎   
作品ジャンル:アニメ
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薙刀桜餅(プロフ) - 飛燕さん» 10年後が楽しみですね笑更新お疲れ様です!ティラちゃんのお話は、気長にお待ちします!作者様の描きたい時に、描いていただくても大丈夫です!言い方がおかしくてすいません、これからも更新頑張ってください! (2017年8月18日 20時) (レス) id: 2c35b59c63 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - 薙刀桜餅さん» 10年後、アランの夢。アオバに理想のタイプ。兄ちゃんと言ってもらうこと(笑) (2017年8月18日 19時) (レス) id: 54f2f8f6b1 (このIDを非表示/違反報告)
薙刀桜餅(プロフ) - 登場人物が増えると、どんどん面白くなっていきますよね!8話のアラン君がめっちゃかっこいいです!さすがお兄ちゃん! (2017年8月18日 15時) (レス) id: 2c35b59c63 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - 薙刀桜餅さん» ありがとうございます!ティラですか~。ちょうどアオバも登場したのでいいタイミングですね! (2017年8月18日 12時) (レス) id: 54f2f8f6b1 (このIDを非表示/違反報告)
薙刀桜餅(プロフ) - こんばんは!続編おめでとうございます!いきなりなのですが、ティラちゃんが巫女だった時の話が読んでみたいです!! (2017年8月17日 21時) (レス) id: 2c35b59c63 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:飛燕 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年8月11日 6時

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