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34話 その4 ページ7

白雄に優しく言われると、恥ずかしくてもじもじしてしまう。

「でも・・・、皆笑うもん」
成長したからこそわかる。
他の女の子はどんどん、丸くて柔らかい体になっていくのに、Aは違う。どこを触っても硬くて男の子みたいだ。

「それは、海で泳いでいるからだ。深く沈む為には引き締まった体が必要だ。お前は幼い頃から海が遊び場だったんだろう?特化していてもおかしくない」
「とっか・・・?とっかって何??」
白蓮にひょいっと抱き上げられ、Aの方が驚いてしまう。
黒かった髪は毎日海に潜っているせいで、茶色に変色してしまった。
男の子みたいな体に、茶色のボサボサ頭。鏡で自分を見るのも嫌なのに、白雄と白蓮はためらわずにAをぎゅってしてくれる。

「お前は凄い奴だってことだ。恥じることなんかない。お前はこんなガキなのに、立派に両親を支えて、俺たちのことも助けてくれた。」

他所の子が馬鹿にする髪に白蓮が頬を寄せてくれる。
それが、嬉しくて首筋に顔を埋めた。

「A」
白雄に名を呼ばれ、顔を上げた。
「いいかい?君が悲しんで平気な奴らの言葉なんて聞く価値もない」

いつも穏やかな白雄の眼差しに力が入ると、恐ろしいくらい凛々しい、研ぎ澄まされた眼差しになる。
その目を見た瞬間、幼いAにもわかった。
白雄の言葉は真にAの為を思っての言葉だ。

「俺達の言葉を信じて、覚えておくんだよ。君は美しい。自分を卑下など決してしてはいけない。この先どんな困難に出会っても、胸を張って、顔を上げて生きていくんだ。君が信じた道を行け。」

真っ直ぐな白雄の言葉は、きっととても難しいことなのだろう。
でも、大好きな白雄が信じてほしい。と言った言葉は信じようと思う。

「うん!」

本当は、白雄言葉の意味なんて半分もわかっていない。
その事は2人だって承知していたはずだ。けれど、しっかり頷いたAを見て二人は笑った。

「よし、俺が体術を教えてやる。もし、変な奴に襲われたらそれで撃退しろ」
「たいじゅつ??」
「じゃあ、俺は知識を君にあげよう。」
「ちしき??お勉強?なんの??」
「ここでは無い、海の向こうの世界を君に教えよう。いずれ、君の目となり力となるように」

良くわからそうに、とりあえず頷いたAは、後に二人が予言した通り、美しく。そして、願った通りに聡明な女性へと成長していく。と言うわけか。

あの時。
謁見の間で見せた、Aの表情の理由を悟ったような気がした。

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飛燕(プロフ) - イノリさん» ありがとうございます。ただ今急ピッチでクリスマス編も書き上げていますので少々お待ちを。これからも応援お願いします! (2014年12月21日 18時) (レス) id: ff86b3b758 (このIDを非表示/違反報告)
イノリ - この小説好きです! 続き楽しみにしてるので頑張って下さい!! 応援してます! (2014年12月20日 23時) (レス) id: 3f888bdb68 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - shinox2さん» こんにちは。コメントありがとうございます!嬉しいコメントでした!寒くなりましたね!紅炎様に温めていただきたいっ!体温高そうだし。 (2014年12月17日 11時) (レス) id: ff86b3b758 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - 紅炎様だいたーん(*≧∀≦*) そんなアナタが好きです!! (2014年12月11日 9時) (レス) id: d0330381ae (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - ライムさん» 返事がかなり遅っなってしまって申し訳ありません。本格的な連載スピードに戻るまでもう少し時間がかかると思いますが、温かい目で見守ってください。追伸、雪だるまの画像載せました!見てくれると嬉しいです (2014年12月3日 12時) (レス) id: da72338801 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:飛燕 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2014年9月29日 6時

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