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34話 その3 ページ6

Aは頭からタオルをかけられ、「んー」と、もぞもぞ動いている。

「やだぁ。へっちゃらだもん。このくらい、すぐ乾くよ!」
「いけないよ。そうやってすぐに面倒がる。女の子なんだから体を冷やすべきではない」
「お兄ちゃんは真面目すぎてメンドくさい。」
「くぉらぁー!!兄上に対してなんだその口のききかたは!!」
「白蓮はうるさい。」
「白蓮じゃない!!お兄様と呼べ!!」
「やだぁ!」
きゃはははと楽しそうに笑うAを挟んで三人は歩き出した。

「あのね、あのね。今日も泳ぎで私が勝ったんだよ!」
「本当に?それはだらしがないね。白蓮」
「兄上にバラすなよ!」
白蓮は首を振りながら、短い髪についた水気を雑に払う。
犬みたーい。と、はしゃぐAをよそに白雄は苦笑いを浮かべた。

「でも、Aには泳ぎじゃ俺も勝てないかもしれないな」
「えへへ」
「海で游いでいる姿は、人魚と見違える程だ。」
「人魚?」

白雄の言葉に首を傾げるAは、先ほど見た姿より少し成長したように思える。
顔の丸みは取れ、話し方もしっかりしている。
少女から娘へ成長している途中なのだろう。

「知らないのか?下半身が魚の魚人だ。中には男もいるらしいけど、大抵が美しい女だと言われている。」

ガシガシ頭を拭きながら人魚について説明をする白蓮は白雄より仕草は雑だが、おおらかな感じがして、Aには親しみやすい。

急に顔色を曇らせたAを見て、白蓮は首をかしげた。
「どうした?」
「私は綺麗じゃないもん」

拗ねているというよりは落ち込んだ様子のAに二人は顔を合わせた。
どうやら紅炎が先ほど見た、幼い頃の記憶はコンプレックスとしてAの中に刻まれているらしい。


白蓮はニカッと太陽のような笑顔をAに向けた。
「そうだな。お前はまだ、綺麗っていうよりカワイイよ」
「かわいい?」
「ああ!すっげー可愛い!!」

アルパ国に漂流し、Aに助けられたのはいいが、思ったよりも白雄の傷の治りが悪く、一足先に回復した白蓮が家計を手伝うため、Aと毎日海に出るようになった。
白蓮にしてみれば、自分に懐いてぴょこぴょこ後ろをくっついて来る少女が可愛くないわけがない。しかも、命の恩人だ。

「ああ。白蓮の言う通りだ。それに、あと数年もすれば美しい女性になるだろう」

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飛燕(プロフ) - イノリさん» ありがとうございます。ただ今急ピッチでクリスマス編も書き上げていますので少々お待ちを。これからも応援お願いします! (2014年12月21日 18時) (レス) id: ff86b3b758 (このIDを非表示/違反報告)
イノリ - この小説好きです! 続き楽しみにしてるので頑張って下さい!! 応援してます! (2014年12月20日 23時) (レス) id: 3f888bdb68 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - shinox2さん» こんにちは。コメントありがとうございます!嬉しいコメントでした!寒くなりましたね!紅炎様に温めていただきたいっ!体温高そうだし。 (2014年12月17日 11時) (レス) id: ff86b3b758 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - 紅炎様だいたーん(*≧∀≦*) そんなアナタが好きです!! (2014年12月11日 9時) (レス) id: d0330381ae (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - ライムさん» 返事がかなり遅っなってしまって申し訳ありません。本格的な連載スピードに戻るまでもう少し時間がかかると思いますが、温かい目で見守ってください。追伸、雪だるまの画像載せました!見てくれると嬉しいです (2014年12月3日 12時) (レス) id: da72338801 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:飛燕 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2014年9月29日 6時

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