47話 その2 ページ47
確かに紅炎の事は嫌いじゃない。
親しみさえ感じている。それは皇子としてだけじゃない一面を知っているからだろう。
「仲間を裏切ることはできない」
「煌とシンドリアは友好関係を築いているはずだが?」
「いつ破綻するかわからない関係を友好とは言わない」
いじけたように言うと、紅炎は皮肉げに笑った。
「レームには何をするために渡ろうとしていた?商売か?」
シンドバッドは冒険者や王としてだけではなく、貿易商人としての一面も持つ。
当然、「幻の国・アルパ」の商品は七海連合が独占している。
現在は、一度シンドリアにアルパ国の商品を下ろしてから、シンドリアの商船で各国に運んでいるので、紅炎がそう考えるのも自然の流れに思えた。
「・・・違う」
「まあいい。しばらくここにいろ。」
「ここに?どうして?」
てっきり強制的に煌に連れていかれるのかと思った。
いや、むしろその方が都合がいい。
煌にはシンドバッドが到着するはずだ。合流出来ればなんとでもなる。そう思っていた。
そんなAの思惑など紅炎には織り込み済みだったのだろう。
僅かに落胆したような紅炎の笑みにAの心は揺れた。
それがまるで、自分が紅炎を傷付けたような錯覚にとらわれた。
「ち、違う!そうじゃな・・・!」
気が付けば、紅炎を引き止めるように手を伸ばしていた。
けれどそれで一体、自分は何を訴えようとしたのだろうか。
紅炎がどれほどの想いを寄せてくれても、自分がどれ程惹かれようと、お互いの立場がそれを許さない。
引くことも進める事も出来ず、中途半端な位置で彷徨っていたAの手は、まるでこれからの自分達を暗示しているようで、らしくもないほど恐れを感じた。
「戦士のくせに、人の心に機敏すぎる」
宙に浮いていたAの手を、ためらうことなく紅炎が引き寄せた。
「簡単につけ込まれて、全てを奪われるぞ」
再び二人の視線が交わったとき、紅炎の腕の中で唇を奪われていた。
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飛燕(プロフ) - イノリさん» ありがとうございます。ただ今急ピッチでクリスマス編も書き上げていますので少々お待ちを。これからも応援お願いします! (2014年12月21日 18時) (レス) id: ff86b3b758 (このIDを非表示/違反報告)
イノリ - この小説好きです! 続き楽しみにしてるので頑張って下さい!! 応援してます! (2014年12月20日 23時) (レス) id: 3f888bdb68 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - shinox2さん» こんにちは。コメントありがとうございます!嬉しいコメントでした!寒くなりましたね!紅炎様に温めていただきたいっ!体温高そうだし。 (2014年12月17日 11時) (レス) id: ff86b3b758 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - 紅炎様だいたーん(*≧∀≦*) そんなアナタが好きです!! (2014年12月11日 9時) (レス) id: d0330381ae (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - ライムさん» 返事がかなり遅っなってしまって申し訳ありません。本格的な連載スピードに戻るまでもう少し時間がかかると思いますが、温かい目で見守ってください。追伸、雪だるまの画像載せました!見てくれると嬉しいです (2014年12月3日 12時) (レス) id: da72338801 (このIDを非表示/違反報告)
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