37話 その3 ページ19
あー・・・思い出すだけで、頭痛い。
なんでこうなるんだろう。
こー君からは確かに野心的なものを感じた。
けれど、本人は不器用なりに女性に気を使えるし、分別だってある。
確かに組織は巨大になればなるほど、管理が大変なものだけれど、それがわからないわけでもあるまいし、きちんと対処できる器の持ち主だと思うけれど。
帳簿を閉じて、Aは窓から街を見下ろした。各家の出窓から花が飾られているのが見える。
まだ、街に人があふれる時間帯だからだろうか。
親子連れが楽しそうに歩いていたり、どこからか音楽が聞こえてくる。
一度は傷ついて、倒れて。もう一度立ち上がった者たちが作り上げた国。
そう思えば思うほど愛おしくて仕方ない。
願わくば、彼らの未来に幸いが溢れんことを。
コッツン・・・
ん?
コッツン・・・
??
何かが当たる音がして、窓の外目を凝らすとシャルルカンがいた。
「おーい。ここだここ」
どこの青春坊やだよ・・・
若干呆れながら顔を出すと、シャルが片手を上げて、どけどけと合図を送ってくる。
・・・えー。
若干の不満は残るものの仕方なく言われるがまま二三歩分下がると、音もなくテラスにシャルルカンが降り立った。
「窓は玄関じゃないんだけど。」
使い古されたセリフを口にすると、ニカっとシャルルカンは笑った。
「堅いこと言うなって。窓から姿が見えたからな」
「はいはい。昼間に会ったばかりなのにわざわざ何??」
「まぁな。邪魔すんぞ」
「えー」
シャルルカンは靴を脱ぐと、勝手知ったる他人の部屋よろしく、ペタペタとフローリングを歩いていった。
本当は故郷のラマの毛で作られたカーペットを置きたいのだが、そんなものこの国では暑っ苦しいだけだ。
「ほんっとお前の部屋って男の影がねぇよな」
辺りを見回されて困るものは置いていないが、やっぱり少し気恥ずかしい。
なんとなく放り出したままの帳簿を本棚に片付けた。
「余計なお世話。なんか飲む?」
「酒」
「はいはい。麦酒・・・は、ない。ワインでいい?」
「おー。」
当たり前のようにソファに腰を掛けたシャルルカンに呆れていると、くるりとこちらを振り向いた。
「なに?」
「んー?落ち込んでんじゃねぇかと思ってな」
「は?」
落ち込む??なんで??
「『練 紅炎』」
ますますわからない。
「お前、惚れてねぇだろうな」
・・・・・・・・・はい??
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飛燕(プロフ) - イノリさん» ありがとうございます。ただ今急ピッチでクリスマス編も書き上げていますので少々お待ちを。これからも応援お願いします! (2014年12月21日 18時) (レス) id: ff86b3b758 (このIDを非表示/違反報告)
イノリ - この小説好きです! 続き楽しみにしてるので頑張って下さい!! 応援してます! (2014年12月20日 23時) (レス) id: 3f888bdb68 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - shinox2さん» こんにちは。コメントありがとうございます!嬉しいコメントでした!寒くなりましたね!紅炎様に温めていただきたいっ!体温高そうだし。 (2014年12月17日 11時) (レス) id: ff86b3b758 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - 紅炎様だいたーん(*≧∀≦*) そんなアナタが好きです!! (2014年12月11日 9時) (レス) id: d0330381ae (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - ライムさん» 返事がかなり遅っなってしまって申し訳ありません。本格的な連載スピードに戻るまでもう少し時間がかかると思いますが、温かい目で見守ってください。追伸、雪だるまの画像載せました!見てくれると嬉しいです (2014年12月3日 12時) (レス) id: da72338801 (このIDを非表示/違反報告)
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