24話 その3 ページ8
彼女達にそんなつもりはなかったのだろうが、女性が男性の服を脱がせるという行動に、逃げ出したくなるほどの動揺を覚えた。
紅炎も特に抵抗を見せず、眷族の一人に剣や肩の防具を渡していた。
手早く服を脱がされ、ついに薄地のみになった時。
「だ、ダメ!触らないで!!」
紅炎を奪い取りように女官たちから引き離すと、女官たちはあからさまに嘲笑を浮かべた。
その笑顔の意味はわからない。
ひょっとしたら、これだから、王家のしきたりもわからない娘は。という意味だったのかもしれないし、嫉妬にかられた女は。と、言う意味だったのかもしれない。
どちらにせよ、笑われたからといって紅炎を渡すという選択肢はない。
「わ、私がやります。やらせてください・・・」
懇願するように紅炎に頼み込むと、人が悪いいつもの笑みを浮かべていた。
紅炎が目で出て行くように侍女たちに促すと、Aに一通り道具のある場所を説明してから去って行った。
彼女達の余裕ある態度と子供じみた自分の態度ではあまりに違いすぎて、恥ずかしくなったものだが、後から紅覇付きの侍女に聞いてみると「彼女達はあくまで部下として紅炎様にお仕えすることに誇りを持っているわけだから、そのくらい当然よ。逆に紅覇様が恋人を連れてきて同じ事をされたら不、愉快だと思う?」と言われた。
答えは否だ。大切な主人だ。心から愛する人と巡り会い、共にあろうとするなら、応援こそすれど、邪魔など絶対にしない。
あ。
「紅炎様」
「ん?なんだ」
「紅覇様はお帰りになられたんですよね?お元気そうでしたか?季節の変わり目で肌荒れなどしていませんでしたか?あっ!お帰りになられたら北方から取り寄せたイチジクを召し上がりたいと言いつけられていました!!どうしましょう!!?困りました・・・。」
「・・・お前は、俺より紅覇か」
「何を拗ねているんです。さ。お湯を流しますよ」
さあぁあっと、紅炎の肩から湯を流しながら丁寧に泡を落としていく。
「何故、夏宮だったのか始めは不思議でした。」
「そうか」
「しばらく身を置いてみて理由がよくわかりましたけど」
紅炎、紅明の宮はどちらかと言えば出自のしっかりとした従者、侍女が多く、高官たちの出入りも多い。そんな所にいきなり放り込まれたら、様々な意味で潰れてしまっただろう。
『変わり者』の紅覇の宮には様々な事情を抱えたものが多く仕えている。
皆、間違っても第三皇子に仕える事など叶わない立場の者達ばかりが。
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白夜 - ショ、ショタだ (2014年12月7日 21時) (レス) id: c4aa6ec47d (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - 白夜さん» え!登場しないから!?うん!でも、ほら!道なきの方で活躍してるから (2014年11月17日 20時) (レス) id: ff86b3b758 (このIDを非表示/違反報告)
白夜 - こーくんかわいそう・・・ (2014年11月17日 19時) (レス) id: 1769d2b610 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - 白夜さん» 更新が遅れていて大変申しわけありません。本編再開です。紅炎は一切出てきませんが今後に関わってくるお話です。 (2014年11月16日 20時) (レス) id: da72338801 (このIDを非表示/違反報告)
白夜 - ありがとうございます! 思わず叫んでしました! (2014年11月13日 16時) (レス) id: 1769d2b610 (このIDを非表示/違反報告)
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