23話 ページ5
挨拶を済ませた客人と紅明が退室したのを見計らって、紅炎はくつろいだように手足を伸ばした。
「それで、何の用だ」
冷静になると、凄みのきいた声に若干たじろぐ。
「もう、済みました。帰ります。お邪魔しました。」
ペコリと頭を下げると、強引に手を引かれた。
軽々と紅炎の膝の上に座らされて、久しぶりの香りに胸が高鳴る。
独特な服装を好む紅炎の胸元は、僅かに肌がさらけており、肌と肌が直接ふれあうとその温もりに、理屈などなく心の底からほっとした。
見上げると、少し面白がったような顔をしているのに、眉間に寄ったシワが深くなっている・・・ような気がする。
ぐにぐに。
「何をしている」
「シワを伸ばしていたんです。」
「くだらん事をするな」
「くだらなくありません。せっかく男盛りなのに、フケてみられますよ」
「フン。俺が気にすると思うのか」
「私が気にするんです」
よくよく見ると少し痩せただろうか。
どれ程小言を言ったところで、聞き届けてもらえるとは思わないが、せめてもう少し自愛を持ってもらいたい。
「こんな夜更けに夜道をうろつくやつがあるか。今夜は泊まっていけ」
「白瑛様がいらっしゃっています。」
「いちいち逆らうな。少しは俺の機嫌をとったらどうだ」
呆れたような。けれど、どこか挑発的な視線にドキッっと胸が高鳴った。
「ご機嫌ですか」
顔は赤くなっていないだろうか。
わざと意味がわからなかったふりをしながら、紅炎の背後に回った。
「何をしている」
「お疲れのようですから肩でもお揉みしようかと」
「・・・何故お前と熟年夫婦のような事をせねばならんのだ」
「何が不満なんです。ほら！カチコチじゃないですか！ 」
「やめんか。」
すっと重なった手にゾクっと体が震えた。
どうして、こんな無骨な手でこんな仕草が出来るのか不思議だ。
「湯浴みをする。背を流せ」
椅子から立ち上がり、引かれた手に結局は逆らえない。
奇跡のようだ。
この人が私を求めてくれている・・・。
誰にも見せない姿を当然のように見せてくれる
「紅炎様」
「なんだ」
呼べば返事を返してくれる。
「お帰りなさいませ」
紅炎の優しい眼差しに目が離せない。
大きな手がすっぽりと頬を包んだ。
「留守中変わりはなかったか？」
「はい。」
この身を案じてくれる。
そして、寄り添う事を許してくれる。
「今夜は側において下さい」
「ああ」
溢れんばかりのこの想いを、貴方にどう伝えたらいいのか、そればかりを思った。
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白夜 - ショ、ショタだ (2014年12月7日 21時) (
レス) id: c4aa6ec47d (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - 白夜さん» え！登場しないから！？うん！でも、ほら！道なきの方で活躍してるから (2014年11月17日 20時) (レス) id: ff86b3b758 (このIDを非表示/違反報告)
白夜 - こーくんかわいそう・・・ (2014年11月17日 19時) (レス) id: 1769d2b610 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - 白夜さん» 更新が遅れていて大変申しわけありません。本編再開です。紅炎は一切出てきませんが今後に関わってくるお話です。 (2014年11月16日 20時) (レス) id: da72338801 (このIDを非表示/違反報告)
白夜 - ありがとうございます！ 思わず叫んでしました！ (2014年11月13日 16時) (レス) id: 1769d2b610 (このIDを非表示/違反報告)
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