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31話 その5 ページ27

むうっと頬を膨らませてから、プイッと顔を背けた。

「・・・痛いです。治してください」

そうしたら機嫌も直しますから。と、甘えるように伝えた。
けれど、そんなに甘い相手ではなかった。

にやぁっと人が悪い笑顔が紅炎の顔に広がる。

「ほぉ。可愛そうにな。」

心にもない事を!そう言ってしまいたいが、これ以上機嫌が悪くなられても悲しいので視線を外して批難していると、寝転がっている体の左右に紅炎の腕が置かれた。

え?

振り返ると、すぐそばに紅炎の顔があった。
それだけではない。完全に紅炎の体に覆い被されて身動きが取れないのだ。

「よく舐めてやろう。早く治るかもしれん」

双眼に宿った誘惑するような妖しい光に、思わず身を縮める。

「や、やめてください。血も出ていますから・・・」

汚いです。そう言いかけて、優しく唇を封じられた。

「西には美しい女の生き血を飲み、生き続ける化け物がいるらしい」

そっと、髪を掻き分けられる仕草が、焦れったくてくすぐったい。

「紅炎様は化け物ではありません。悪ふざけはおやめください」
「だが、お前は血の一滴まで俺のものだろう?」
「ち、違います!!」

何て事をいうのだ。Aは恥ずかしすぎて布団に顔を埋めた。

「女心という物を語るのなら、男の征服欲という物もよく覚えておくことだ。」

普段は服に隠れて垣間見得ることはできない。
積雪のように白く、柔らかく、誰も踏み入れない場所。

そこに残した跡が痛々しく、くっきりと紅炎を主張している。

ゾクゾクと沸き上がる狂暴な感情を無理やり押さえつけて、紅炎はAの耳元に唇を近づけた。

「お前は俺のものだ。他の男に僅かでも気を向けるなど許さん」

紅炎の息が耳にかかり、ゾクッと頭の天辺から爪先まで身体中にうずきが走った。

「あ・・・!やぁっ」

反射的に耳を手で隠すと、無理矢理、それを引き離された。
「そんなに喜ぶな」

獲物を追い詰めたような紅炎から逃げるように必死に顔を埋め続ける。

「横暴です。あちらへ行ってください。嫌です」
「そう煽るな」
「煽ってなんかいません。あちらへ行って!」

途端だった。
物凄い力に引き上げられて、ぐるっと視界が回ったと思ったら、紅炎が上着を脱ぎ捨てていた。
これからの予感に心が震える。

「急になんですか・・・何かあったんですか?」
「男など急なものだ」
服の裾に手を伸ばして来た紅炎は怪しく、どこか野生じみていた。

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白夜 - ショ、ショタだ (2014年12月7日 21時) (レス) id: c4aa6ec47d (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - 白夜さん» え!登場しないから!?うん!でも、ほら!道なきの方で活躍してるから (2014年11月17日 20時) (レス) id: ff86b3b758 (このIDを非表示/違反報告)
白夜 - こーくんかわいそう・・・ (2014年11月17日 19時) (レス) id: 1769d2b610 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - 白夜さん» 更新が遅れていて大変申しわけありません。本編再開です。紅炎は一切出てきませんが今後に関わってくるお話です。 (2014年11月16日 20時) (レス) id: da72338801 (このIDを非表示/違反報告)
白夜 - ありがとうございます! 思わず叫んでしました! (2014年11月13日 16時) (レス) id: 1769d2b610 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:飛燕 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2014年9月29日 6時

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