31話 その4 ページ26
なだめるように何度も舐められれば、恐怖や悲しみばかりだった気持ちも次第に落ち着いてきた。
じゃれつくように鼻先に口付けされ、耳たぶを口に含まれてしまえば、別の意味で紅炎の手に縋り付いてしまう。
「ダメです・・・!やめて下さい」
紅炎から与えられる熱に溺れてしまわないように、懸命に抵抗していると、ぶにっと頬をつままれた。
イタい。
「他の男に笑いかけるな」
「はい?」
なんの話だろう。こちらに来てから顔をあわせる人物など限られてしまっている。
「紅明と楽しそうに笑い合っていただろうが」
さっきまでの事だろうか。
「なっ!当たり前じゃないですか!紅明様には感謝してもしきれないほど良くしていただいています。ご存じでしょう?」
「俺以外の男に笑いかけることを今後禁じる」
「また貴方はそんな馬鹿なことを・・・。」
あら?ひょっとして、この一連の行動は・・・。
「これって、お母さんを弟に取られて、気を引くための嫌がらせみたいなものですか」
「・・・お前の思考はどうしてそう所帯じみているんだ。」
「弟達もやりましたよ。服の中に虫を入れられたりしましたし、家出されました。」
「一緒にするな」
つまり、これって。
とっっってもわかりにくいけど・・・やきもち??
外れていたら恥ずかしいので口には出せないが、思わず顔が熱くなってしまった。
「まあいい。印は付けておいたからな」
「・・・一体どこの変態ですか。」
紅炎の腕の中から身を引いてそっと鏡を覗くと首筋にくっきりと歯跡が残っている。
ところどころ血さえ滲んでいた。
「なんですか?これは」
「印だ」
「治してください!嫌です!こんなものがあったら人前に出られないではありませんか!」
「そのために付けたのだから治す必要があるか」
「酷い」
こんな・・・
「何をしている」
「ふて寝です。女心がわからない方なんて知りません」
紅炎周りには潔ような美しい高貴な女性ばかりが揃っている。
どう頑張っても生まれ持った顔の作りや出自は変えられないから、せめて出来る限りの努力をして、恥ずかしくないようにしたかったのに。こんな跡が付いては、水の泡だ。
「二度とお前を外に出すつもりはないが、万が一にでもどこぞの馬の骨に見られでもしたらどうする。」
「見られるくらい構わないではありませんか。」
「立場もわきまえない馬鹿がいるものだ」
「貴方に刃向かおうとする者など、そうはいないと思いますが」
「いるではないか。ここに」
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白夜 - ショ、ショタだ (2014年12月7日 21時) (レス) id: c4aa6ec47d (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - 白夜さん» え!登場しないから!?うん!でも、ほら!道なきの方で活躍してるから (2014年11月17日 20時) (レス) id: ff86b3b758 (このIDを非表示/違反報告)
白夜 - こーくんかわいそう・・・ (2014年11月17日 19時) (レス) id: 1769d2b610 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - 白夜さん» 更新が遅れていて大変申しわけありません。本編再開です。紅炎は一切出てきませんが今後に関わってくるお話です。 (2014年11月16日 20時) (レス) id: da72338801 (このIDを非表示/違反報告)
白夜 - ありがとうございます! 思わず叫んでしました! (2014年11月13日 16時) (レス) id: 1769d2b610 (このIDを非表示/違反報告)
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