29話 その1 ページ19
ー夏宮ー
咲き誇っていた極彩色の花々は姿を消し、葉が黄色く色付き始めた庭園に危なっかしい古琴の音色がひびいていた。
「宜しいですか？それでは先程までのところを次回までに復習しておいてください。この曲は時代を問わず、極東で愛されてきた曲です。母様となられたあかつきには、お子様にお聞かせ出来るように今から準備をしておかねばなりませんよ」
春の陽だまりのような微笑みを受けべているのは、宮中勤めの古琴奏者だ。
楽器など聴くばかりで触れたことがなかったAだったが、先のことを考えればと、紅覇が先生を付けてくれたのだ。
「はい。ありがとうございました」
丁寧に頭を下げ退出を見送ると、A付きになった侍女ー潔(きよ)がそっと声をかけて来た。
「A様、次の時間までしばしの休憩をはさみます。甘いものをご用意致しますが、どちらで召し上がりますか？」
潔は線の細い、見るからに令嬢のような娘だった。
詳しい出自はわからないが、煌が成った時に没落した家の娘らしい。
そっと微笑まれると、こちらの方が照れてしまうほどの美人だ。
「あ。どちらでも」
「それでは中庭が見える所に致しましょう。秋宮とまではいかなくても、こちらでも季節を楽しめますから。」
「はい。ありがとうございます」
嬉しそうに笑ったAに、潔は困ったような顔を見せた。
「あのー。A様、慣れないのはわかりますけど、出来ればもう少し・・・。これではどちらが主人かわかりません。」
「あ！申し訳ありません。以後気をつけます。」
Aが慌てて頭を下げると、潔は呆れたような顔を見せてから、くすりと微笑んだ。
「・・・はい。お気をつけくださいませ」
Aは、紅覇が後見人となってから侍女部屋から貴人用の一室に身柄を移していた。
現在は、かねがねから紅炎が用意をしていた絹の衣に身を包み、習い事に励んでいた。
音もせずに茶器に茶が注がれていく。
風が冷たいといけませんから。と、庭がよく見える室内に席は用意されていた。
「お寒くはありませんか？」
「ええ」
Aは腰をかけながら、潔の仕草を逐一眺めていた。
流れるような動作や、細やかな心遣いが実に素晴らしい。
「潔殿は、なぜ私の侍女になることを承諾されたんですか？」
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白夜 - ショ、ショタだ (2014年12月7日 21時) (
レス) id: c4aa6ec47d (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - 白夜さん» え！登場しないから！？うん！でも、ほら！道なきの方で活躍してるから (2014年11月17日 20時) (レス) id: ff86b3b758 (このIDを非表示/違反報告)
白夜 - こーくんかわいそう・・・ (2014年11月17日 19時) (レス) id: 1769d2b610 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - 白夜さん» 更新が遅れていて大変申しわけありません。本編再開です。紅炎は一切出てきませんが今後に関わってくるお話です。 (2014年11月16日 20時) (レス) id: da72338801 (このIDを非表示/違反報告)
白夜 - ありがとうございます！ 思わず叫んでしました！ (2014年11月13日 16時) (レス) id: 1769d2b610 (このIDを非表示/違反報告)
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