132話 その4 ページ31
*
森深く。
巫女の住まう社の奥に、
いつからここにあるのか。
なんのためにあるのか、誰にも何もわからない。
巫女の右には『海水』左には『湧き水』
この2つを同時に石皿に流し入れ、混ざり具合で占いを行う。
巫女の『見通す目』があってこそ出来る占いだ。
すぅ。
身体中に空気を送り込み、精神を整える横顔は、年齢にそぐわぬ程、
ばしゃ!
一気に水を空けると、どんどん、海水と湧き水が分離されていく。
「ダメだわ・・・」
がっかり巫女は肩を落とした。
何度やってもこうだ。
今日は誤魔化したが、明日はそうもいかないだろう。
島の危機を救ってくれた2人が是非にと申し出てくれているというのに、なんの力にもなれない自分が歯がゆい。
「巫女」
声をかけてきたのは、昼間、Aに水を差し出した良女だった。
「思い詰めるのはよくありません。占いに私情を挟めば、結果が
「わかっています。ですが私は結果を出したいのです」
「結果ならば出ているではありませんか」
すっと良女が差したのは、混ざらない水だ。
「『ない』これが、答えです」
「儀式が行えなければ、夫婦にはなれません!!」
「私には当然の答えだと思いますが」
冷たい声に、巫女は体を震わせた。
彼女もまたこの島を守った巫女の1人だ。
その力こそ失われているが、聖職者独特の空気。
嘘や偽りとは全くの無縁。
非情なほど
私の力が弱いから・・・、答えを導き出せないの?
巫女は思わず目を伏せた。
自分は歴代の中でも、力の弱い巫女だという自覚はある。
それを自覚する度に何度打ちのめされそうになったことか。
けれど・・・。
けれど!
せめてもう一度!!
ギュッと巫女は奥歯を
「巫女。基本的なことを忘れてはいませんか?」
「え??」
「我々の力はアルガン島のものにしか
「ぁ・・・!!!!!」
あの2人は来訪者だ。
いずれこの地を去る。
この島と共に生き、共に眠る者ではない。
だから、神の守護を受けられない。
132話 その5。と、どうでもいい話→←132話 アランの冒険3
98人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
飛燕(プロフ) - shinox2さん» お待たせしました!鯨波の声始まりました!宜しくお願いします (2017年4月4日 23時) (レス) id: ff86b3b758 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - 白羅さん» 白羅さん。コメントありがとうございました!続編開始です。宜しくお願いします。 (2017年4月4日 23時) (レス) id: ff86b3b758 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - やだ、最新作♪♪アラン頑張れ!なんだけど紅炎何があった!? 乞うご期待ってヤツですね( 〃▽〃) (2017年3月18日 22時) (レス) id: 2f52f37027 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - コメントありがとうございます! しばらくは別の話に力を入れ、落ち着いた頃に続き物が書ければ良いなと思っています。本当にありがとうございました! (2017年3月4日 21時) (レス) id: ff86b3b758 (このIDを非表示/違反報告)
白羅(プロフ) - 完結おめでとうございます!とても面白かったです(*´ω`*)お疲れ様でした! (2017年3月3日 13時) (レス) id: 4053be4a89 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ