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132話 アランの冒険3 ページ30

ぷぅ。と、不満げな返事に、ため息をつきながら、もう一人の問題児に目を向けた。

「そして、兄王様。遺跡に夢中になり、本来の目的を(おろそ)かにしてはいけません」
「・・・古書が山積みになっていたら、お前だって閉じこもるだろう」
「あなた方は一度は言い訳をしないと気が済まないんですか」

呆れた弟の視線にいたたまれなかったのか、視線を外した紅炎に、紅明は溜め息を一つ、ついて見せた。

「全く、言い訳は結構です。花嫁の気が変わらないうちにさっさと婚姻(こんいん)を済ませて下さい」
「・・・承知した」
「ぼくもー!しょーちしたー!!!」

はーい!と、ご機嫌にアランが笑っている。
どうやら、大人しく座っているのに飽きたらしい。

全く頭が痛い。

「真似しなくていいんです」

その一言が精一杯だった。


騒々(そうぞう)しい、紅炎一家が帰った後、アランは昼間のお使いで疲れたのか、珍しく早々に夢の中だ。
アンナとアンジェはAに祝いの品を贈るのだと言って、部屋に閉じ困ってしまったため、珍しく静かな夜だった。

夜の闇の中で、ろうそくの火が心細げに揺れている。

「おい。家の中に入ったらどうだ?」

縁側(えんがわ)に座ったまま、膨らみ始めた腹を撫でるアイラに声をかけた。

「この子は女の子かね」
「さぁ。こればっかりは出てこねぇとわからねぇな」

どこかアイラの声が沈んでいるような気がして、アグラは軽い調子で返事を返した。

「私はね、この子が『巫女』のような気がしてならないんだよ」
アグラには思ってもみない言葉だった。

「それこそ、生まれてみねぇとわからねぇだろうが。」
「これまで5人産んだけど、こんな予感がするのは初めてなんだ。今までは、自分の腹から『巫女』が産まれるかもしれないなんて、考えたこともなかった」

心の中の言葉を形にしたことで、アイラは確信を深めたようだった。
アイラはアグラの手を握った。

「この子は『巫女』になる子だ。」

巫女になる娘は幼くして親元から離れ、子とも親とも名乗ることが許されない。
巫女になる事は名誉なことだ。
けれど・・・。

胸が張り裂けそうだ。

「そうであっても、そうでなくても。この子は俺たちの子供だ。」

ぎゅっと、アグラが手を握り返す。

「コイツが『巫女』だったら、それこそ、歴代で1番の勝気なお(ひぃ)様になるだろうさ!」

残された腕で、アグラはアイラの肩をしっかりと包み込んだ。

132話 その4→←132話 アランの冒険2



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設定タグ:マギ , 練紅炎   
作品ジャンル:アニメ
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飛燕(プロフ) - shinox2さん» お待たせしました!鯨波の声始まりました!宜しくお願いします (2017年4月4日 23時) (レス) id: ff86b3b758 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - 白羅さん» 白羅さん。コメントありがとうございました!続編開始です。宜しくお願いします。 (2017年4月4日 23時) (レス) id: ff86b3b758 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - やだ、最新作♪♪アラン頑張れ!なんだけど紅炎何があった!? 乞うご期待ってヤツですね( 〃▽〃) (2017年3月18日 22時) (レス) id: 2f52f37027 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - コメントありがとうございます! しばらくは別の話に力を入れ、落ち着いた頃に続き物が書ければ良いなと思っています。本当にありがとうございました! (2017年3月4日 21時) (レス) id: ff86b3b758 (このIDを非表示/違反報告)
白羅(プロフ) - 完結おめでとうございます!とても面白かったです(*´ω`*)お疲れ様でした! (2017年3月3日 13時) (レス) id: 4053be4a89 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:飛燕 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2016年10月10日 7時

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