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129話 その3 ページ16

「ぼく、なにもしてないのに、どんってするんだ」

イヤがるアランからようやくその一言を聞き出した。

「あらら。乱暴な子がいるんだね」

確かに、アランは末っ子で甘えん坊なところがある。
そういうところが、イジワルされる原因なのかもしれない。

「なんで、がまんしなくちゃいけないの?」
「え?」
「とおちゃんが、しかえししちゃだめっていうんだ」
「仕返し、したいの?」
「よわむしってわらうんだ。ぼく、よわむしじゃないもん!!」

消化できない心のモヤモヤが溢れ出したように、アランは叫んだ。
確かにアランの性格ならば、弱虫と笑われるくらいならば、負けても負けても立ち向かっていくのだろう。

けれど、それを大好きな父親から禁じられてしまい納得がいかずにいる。

きっとアグラさんは、『仕返し』という行為自体を()み嫌っているんだろうけど。

それはアランにはわからないだろう。
『やられたからやりかえす。それの何が悪い。』
そういう考え方の方がシンプルで分かりやすいもんね。

さて、どうしよう・・・。と、思っていると、それまで静観していた紅炎が、アランとしっかり目を合わせた。

「アラン。男が戦うのは、守るべき者の為だ。自分の強さを証明するためではない」

紅炎の真剣な目が怖かったのか、急に大人しくなったアランは、ちゃんと紅明の膝の上に座りなおした。

「お前の父は家族を守るためにならば、命を張るだろう。・・・そういう男は、強い」

家族を守る為、片腕を無くしたアグラへの賛辞とも取れる言葉だったが、アランに伝わっただろうか。

今はわからなくてもいい。
いつか大きくなった時。
自分の家族を持った時に、思い出して欲しいと、そう思う。

「ですが、『敵』が人だけとは限りません。天災や貧困もあるでしょう。それには、武力だけでは挑めません。その為の知力。アラン、我々がここにいる間、教えられるだけの事をあなたに教えましょう。」

優しく髪を撫でられ、アランは大きな目を紅明に向けた。

「学びなさい」

その一言が、どこまでも優しくて、Aは思わず涙ぐんでしまった。

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設定タグ:マギ , 練紅炎   
作品ジャンル:アニメ
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飛燕(プロフ) - shinox2さん» お待たせしました!鯨波の声始まりました!宜しくお願いします (2017年4月4日 23時) (レス) id: ff86b3b758 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - 白羅さん» 白羅さん。コメントありがとうございました!続編開始です。宜しくお願いします。 (2017年4月4日 23時) (レス) id: ff86b3b758 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - やだ、最新作♪♪アラン頑張れ!なんだけど紅炎何があった!? 乞うご期待ってヤツですね( 〃▽〃) (2017年3月18日 22時) (レス) id: 2f52f37027 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - コメントありがとうございます! しばらくは別の話に力を入れ、落ち着いた頃に続き物が書ければ良いなと思っています。本当にありがとうございました! (2017年3月4日 21時) (レス) id: ff86b3b758 (このIDを非表示/違反報告)
白羅(プロフ) - 完結おめでとうございます!とても面白かったです(*´ω`*)お疲れ様でした! (2017年3月3日 13時) (レス) id: 4053be4a89 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:飛燕 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2016年10月10日 7時

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