おとぎの国の贈り物4 ページ8
なんとなく、きょろきょろ周囲を見渡してしばらく
シャロットが言った通り、周囲があっという間に暗闇に閉ざされていった。
1度そりを止めて、先端に取り付けてあるランプに明かりを灯す。
ほのかな光だが、それだけでほっとする。
「わぁあ」
「ん?」
「見て。ここからだと街がよく見える。すごい、絵本の世界みたい」
丘に
「美しいね。この国ならではの光景だ。」
思わず
「残念だけれど、急いで帰ろう」
シャロットの合図と共に、そりが再び動き出した。
一見、人が生きていくには不向きで厳しい土地。
だけれどそれが、他国からの
厳しい冬を乗り越え、やがてやって来る春がいかほどの喜びか。
けれど、それを待たなくてもこんなに美しいものがこの国にはある。
「ねぇ」
「ん?」
「この子が生まれたら、またこの景色を見に来よう?」
「いいね。3人でゆっくり旅行に来よう」
帰ったらミルクが飲みたい。
まるで絵本に出てくるような、たっぷり砂糖をいれたとびっきり甘いやつを。
それはきっと、幸せの味がするだろう。
*おわり*
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