星を抱くもの 40 ページ48
確かに前方で子供の叫び声が聞こえてくる。
「どうしたの？ぶつかっちゃったの？！」
「いえ、そうではないようですが。」
迎えに来た使者も状況がわからないようで戸惑っている。
窓からのぞき込むように、前を見たときだ。
「うーーー！あーーー！！」と、聞き覚えがある声がした。
この声！！
「え？ちょ、お待ち下さい！アラン様！！」
使者の制止も聞かず、アランは馬車から飛び降りた。
馬の行く手を
慌てて、アランが「ごめんね！！どおどお」と、なだめると、馬達が静かになっていったので、行者は申し訳なさそうに頭を下げた。
「こんなことヤっちゃダメなんだ！このコたちは、おしごとちゅうなんだ。」
アランの顔を見るなり、ササは泣き出しそうな顔をして、「あーーー！！」と、飛び付いてきた。
「アラン様！」
アランが使者の背にかばわれた一方で、ササは使者によって突き飛ばされた。
「やめて！らんぼうしないで！！」
「いけません！！馬車の中にお戻り下さい！」
使者は力付くでアランを馬車の中に避難させようとするが、ササは、必死で使者の足にしがみついてくる。
「ちっ！誰か！来てくれ！！」
その声に周辺を警戒していた警備員も集まってきて、ササは地面に押さえつけられた。
アランを守るためだと言うのはわかる。
けれど、これは……
小さな子供の体を大人達が押さえつけるのだ。
壊れてしまっても不思議ではない。
「やめて！やめてやめてやめて！！！」
信じられない思いで叫ぶが、その手が
…………ポキ
不思議とササの骨が折れたその音が妙によく聞こえた。
ゴォオオオ……！
突然
あり得ない事態に、その場にいた全員が呆然とアランを
大人の
ところが、一瞬視界を奪われた隙に、幼児は二十歳程の青年に変わっていたのだ。
「やめろと言っている。全員下がれ」
圧倒的な魔力。
短い黒髪に、凛々しい眉。
通った鼻筋に形のいい唇。
アランに睨み付けられ、ササを
『癒せ、フェニックス』
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