星を抱くもの 36 ページ44
わっと会場が沸いた。
「アラン」
「はぁああい」
シンドバッドに呼ばれ、近くまで歩いていくと、軽々と抱き上げられ、一気に見える景色が高くなった。
「皆、話を整理しよう。アランの言う通り、天候学を進化させることが最も理想的だろうが、シャロット王の
先程までとは違い、真剣に話を聞く王達を見て、アランは『シンくん、スゴいね!』と、耳に口をくっつけるくらいの距離で話しかけた。
「よって、しばらくの間は、以前のようにアランに予知を行ってもらうと言う事でどうだろうか。もちろん、耳を貸すかどうかの判断は各国に任せる」
歓迎する拍手を聞きながら、アランが頭の高さまで手を持ち上げると、妖精達がアランの元に戻っていく。
「シンくん、これあげる」
「ん?」
「ボクとおはなししたいときに、つかって」
「アランに直接つながる通信具と言う事か」
シンドバッドの指先に停まったのは、クリーム色の髪をした女の妖精だ。トンボのような長細い羽をふるふる震わせている。
その一方で、対になっている男の妖精は遊び足らそうにきょろきょろ様子をうかがっている。
「お待ちください!シンドバッド様!そのような得体が知れぬ物は、危険ではないですかな?」
思わぬ意見にアランは目を丸くした。
「コレは、かみなんだ。ひで、かんたんにもえちゃうんだ。あぶなくないよ」
「黙れ!小僧が!自分の能力に
さすがのアランもとまどった。
自分に向かって怒鳴ってくる大人は、圧倒的に魔法具に対しての知識が
「いい加減になさってください」
凛とした声で、アランの盾になったのは、アランと同じ黒いとんがり帽子をかぶった女性だった。
流れるような水色の髪。
マグノシュダットの魔法学園長ヤムライハだ。
「がくえんちょうせんせい!」
思わず驚いて声をあげたアランに、にこりと微笑んだヤムライハはぐるりと会場を見回した。
「この妖精達は貴殿方も持っていらっしゃる貝殻型の通信具となんら変わりません。それは私が保証いたしましょう」
世界中の魔法使い達の代表とも言えるヤムライハにそう断言されて二の次を紡げるものはそうはいない。
33人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ