検索窓
今日:20 hit、昨日:10 hit、合計:9,135 hit

星を抱くもの 33 ページ41

「ちがうよ」

きっぱりだ。
取り(つくろ)うことも言い訳もしない。
年長者に礼を尽くさない姿に多くの王が(まゆ)(ひそ)めた。

「それはどういう意味か。アラン王」
「ぼく、アルガンとぉにヒドイコトしようとしたヒトとはなかよくしない」

あまりに明るく言い切ったので、青年は反応が遅れた。

「つまり、我々の過去の行いから連合には加盟せず、独自に存続する。と、おっしゃりたいのか」
「そう」

ざわつく会議場を静めるように、シンドバッドが片手をあげた。

「連合に加盟せず存続する国はいくつかあります。」

司会者が現状を整理するように、会場を見渡した。

「最たるものはレームですが、その代わりに多額の金品を納めています。アルガン島でも同様のものを支払う意思があるというのですか?」

「おかねはないよ。ぼくのくに、つうかがないもん」

どっと罵声(ばせい)にも近い声が会場に響く。

「現代社会で、そんなバカな話が!」
「出任せだ!」
「我々を愚弄(ぐろう)するおつもりか!」

唾を吐き出すような声があまりに(うるさ)くて、アランは思わず、耳をふさぎ、会場を睨み付けた。

「ほんとうだもん!!」

子供らしい甲高い声が会場中に響いた。


その場にいる多くの者が、アルガン島の実情を知らない。

この世界のどこかに存在する島国。

どこにあるのかもわからないというのに、だれもがその名を知っている。

この王だ。
この王がたったひとりでアルガン島の名を世界中に(とどろ)かせた。

理事を始めとする、百戦錬磨(ひゃくせんれんま)の王達は涼しげに受け流してはいるが、新しく代替わりをした王達は、アランの不機嫌な顔に動揺している。

再び天候予知を手にするためには、アランを怒らせるわけにはいかないのだ。


「みんな、ボクがこわいんでしょう?」


幼い声が静まり返った会場によく響いた。


「だから、ボクをころそうとしたんだ」


ギクリと震え上がったのは1人2人ではない。
これまでアラン暗殺計画が黙殺されてきたのは、ことの重大さと、アラン側からの訴えがなかったからに過ぎない。

ここでアランがそれを持ち出せば、大問題に発展する。

「でも、ゆるしてあげる!ボクのほうがつよいもん!!」
「そ、それは我々に対する(おど)しでしょうか。」

星を抱くもの 34→←星を抱くもの 32



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (19 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
33人がお気に入り
設定タグ:マギ , 練紅炎   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:飛燕 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2016年12月12日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。