星を抱くもの 31 ページ39
「国王の威厳が薄れる、と言えば分かりやすいか」
「イゲンは、ダイジなの？」
アランは緊急性が高いものを選んで行動してきた。
現実、アランが魔法を使わなければ滅んでいた村が多くあった。
「王の威信で国を治めているから、国内は安定する。王よりもお前に
実際、アランは今を救っただけだ。
過去、未来。
彼らを守護し導いていくのはアランではなく、そこに根付く彼らだ。
「アラン。お前は何故、旅に出たんだ？」
「しりたかったから」
「何を知りたい」
「ぼくを、なんでころそうとしたのか。どんなくにのオウサマなのか。しりたかったの」
「それで？わかったのか？」
少し迷ったあと、アランはしっかりと頷いた。
「………だから、もうやめる」
「ん？」
「ボクのチカラは『とくべつ』じゃないといけないんだ」
「アラン？」
その日、シンドバッドより持たされた報で、世界が揺れた。
次回開かれる世界連合の会議に予言者…、すなわちアルガン王の参加が決定した。
＊
パルテビア
今や世界の中心とも言える場所では、各国の指導者が集い、定例会議が常に行われている。
関係者を警護するため、常に厳重な警護が引かれている場所だが、今日は不気味なほど静まりかえっていた。
今日、この日。
会議の内容で次第で、世界の命運が大きく変わるのだ。
他国の用心を迎え入れるのに慣れた国民達も今日だけは違った。参道に集まり、今か今かとその人物を待っていた。
『アルパ王国国王 シャロット様』
『煌帝国皇帝 練 白龍様』
到着順に次々と名前が呼ばれていくなか、ついにその名が呼ばれた。
『アルガン島国王 アラン様』
マグノシュダットのローブを着た子供が、集まった観衆に驚いたように、きょろきょろ周囲を見回している。
「アラン。余所見をしながら歩くと転ぶよ」
先を行くシャロットと白龍が振り返って、アランを待っている。
「シャロット！ヒトがいっぱいいる！」
「僕達を見るために集まっているんだよ」
「ボク？なんで？？」
「王族を近くで見られる機会など、そうそうないからな」
慣れたように観衆に手を振って応える2人の真似をしてアランも手を振ってみた。
「あれがアラン王？こどもじゃん」
「おいおい、なんの冗談だ」
男だと言うことはわかっていた。
けれど、まだ年端もいかない子供が王だと言われて『はい、そうですか』とはいかない。
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