星を抱くもの 28 ページ36
3日前、この村の子供達は全員不思議な体験をしていた。
全員が全員、全く同じ夢を見ていたのだ。
夢の中で、村の現状を聞いたアランは尋ねた。
『ねがいごとはなぁあに?』
「雨を降らせて!」
丸ぶちメガネの少年が願った。
『あめがふったって、すぐに、やさいはそだたないよ。おかねがほしくないの?』
「雨が降らなくちゃ、畑がダメになっちゃう!」
そうだ、そうだ。と、子供達は言う。
「それに、羊や鶏は、草が生えなくちゃ生きていけないわ!」
少し年長さんの女の子だ。
『ほんとうにそれでいいの?コドモをうろうとする、オトナにしかえしもできるよ』
「そんなことしないで!お父さんも、お母さんも雨が降るように毎日神様にお祈りしてる!」
「売れるものは売って、私たちが町に行かなくてもいいように、なんとか
女の子達の目は真剣だ。
『でも、じぶんたちが、うられるかもしれなんだよ』
アランは意地悪だと思いながらもきいてみた。
町には、煙突掃除夫の子供達が多くいるが、無事に帰れるのはほんのわずか。
それは、生活環境が
「ふと冬だけだ!」
「春には帰ってこられるんだ!!」
子供達は現状を知らない。
『しんじゃうかもしれないんだよ。ほんとうに、かえってこられるかもわからないんだよ』
アランの言葉に
「しなない!」
叫んだのは
「ぼくは、うられたって、ゼッタイうちにかえるんだ!!」
そして、まもなく雨が降る。
湿気を含んだ風が、そう告げていた。
「あ、あの!私がこの村の村長です。この度は誠に、誠に!ありがとうございました!!」
地面に頭を擦り付けるほどの勢いだが、目が不安に揺れている。
魔法使いのほとんどは国のお抱えが多い。
本来は然るべき場所に届け出、派遣してもらうのだが、そもそも魔法使いの数が少ない。
届け出を出したところで、優先順位をつけられ、一体いつ派遣されるかわからないのだ。
また。
ごく稀に、放浪の魔法使いがいる。
彼らは組織に縛られる事を拒否し、気まぐれにさすらう存在だ。
だが、彼らを雇うには、大金を積む必要がある。
「そ、それで、おいくら程用意すれば…」
流星は思わず顔をしかめた。
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