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紅炎編 7 ページ4

幻聴(げんちょう)でも聞いたかのような相手の態度に、自分の過ちに気がつく事もあるもので。

「・・・アラン。」

この手の場合、なかった事にするに限る。

「なぁあにぃ?」
「どれにするんだ。買ってやる」
「えー!!うんと!うんと!!」
「ちょっちょっ!!今のもう一回!寂しかった!っていって!!」

そんなことは言っていない。
どういう耳をしているんだ。コイツは。

「ぼくねぇ。このりゅうがイイ!」

アランが指を指したのは、石を龍の形に加工したものだ。
龍虎を演出しているらしく、龍と向き合うように、岩の上から牙を()いている虎がある。

「そうか?虎のほうがいいだろう」
「えー!!りゅうだよ!そらとべるもん!!」
「龍でも虎でもどっちでもいいよ!!もう一回!もう一回言って〜!!!」
「Aちゃん、しぃして!!いま、ぼくがこーえんくんとおはなししてるの!!」

がぁあああん!!!

「アラン君が怒った・・・!!」


アランに(しか)られて、あからさまに落ち込むAが、可笑しくて「ふっ」っと笑い声が出てしまった。

「ひっ!ひどい!!2人で!!いじけてやる!!」
「Aちゃん、へんなかおー!きゃはは!!」
「へ、へん!?」

へん。

まじまじとアランが『ヘン』だという顔を見てしまったのが悪かった。
あからさまに笑えば、ヘソを曲げるのがわかっているので、さっと顔を隠すが、隠そうとすればするほど笑えてくる。

「ちょっ!笑ってる!?自分の彼女が笑われて、一緒になって笑ってるなんて、叩くよ!」
「だめー!!ぼうりょくはんたーい!」

大陸の侵略者として恐れられている自分を守りながら「暴力反対!」と訴え、両手を広げる人間がいるとは。

「くくっ。」
随分(ずいぶん)、楽しそうだね。」
「ああ。当分、退屈することはなさそうだ」

やれやれ。と、ポーズをとりながら、Aはアランの前にしゃがみ込んだ。

「アラン君。お腹減ったね」
「へったー!!」

石よりも食らしく、あっさり興味が移った。
自由の効かないアランが一緒ならば、適当に飲食物を買い込んで、周囲を気にしなくて済む場所に移動するのがベストだろう。

「行くぞ」
「「うんっっ!!」」

まだまだ(にぎ)やかな夜はこれからのようだった。


《 おわり 》

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設定タグ:マギ , 練紅炎   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:飛燕 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2016年12月12日 20時

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