星を抱くもの 22 ページ30
《 煌帝国 》
アランは白龍がザガンで作り出した植物で空を飛んでいた。
地平線の果てまで広がる大地。
草を食む家畜たちも多く見られる。
こんな平和な国が、ほんの20年前まで世界統一を目指して戦争を行っていたなんて想像もつかない。
大小、いくつかの集落も見えた。
煌帝国独特の形をした
それが、魚の
侵略国家。
世間では煌帝国を未だそう蔑む者も少なくないが、アランの目には
その一方で、手入れがされていない荒れた場所も目についた。
貧しい地域と言うよりは人気が無いのだ。
以前、白鳳と白凰が言っていた。
『ぼくたちが生まれる前だけど、煌からたくさんの人が出ていってしまった事が、いまも父上をこまらせてるんだ』
『う??』
『煌をみかぎって、出ていっちゃったの。』
『都にはそれなりのにんげんがいるけど、こうがいに行けば行くほど、あれたトコロも多いんだ』
道案内するように先を飛ぶ白龍を見た。
アランと同じ景色を見て何を考えているのだろう。
広大な土地に減少した人口。
白龍が抱えている問題は少なくない。
首都が見えてきて、高度を下げた。
「アラン!」
「アランくん!!」
宮殿に到着すると、真っ先に双子が走ってきた。
勢いそのままに抱き付かれて、アランは後ろにひっくり返ったが、泣き出しそうな双子の顔を見たら何故か涙が出てきた。
「ほーくん、おーちゃん。だいじょうぶ?ケガしてない?」
首が折れそうなほど頷く2人にアランが「白龍にーちゃんがたすけてくれたから、ぼくはヘーキなんだ!」と笑った。
「アラン!!!」
「わっ!ねーちゃんだ!」
雷が落ちたような声にアランは飛び上がった。
逃げなくてはどんな説教が待っているかわかったものではない。
10代で煌へ嫁いだアンナも既に1男3女の母。
あどけなさは無くなった代わりに、気丈な性格が外見に現れている。
反射的に逃げ出そうとしたアランだったが、アンナの後ろに控えた青秀に「青秀!アランを捕まえなさい!!」という言葉を聞いて、アランはアンナを睨み付けた。
「ヘビにめーれーしないで!ヘビはぼくのだぞ!!」
「お黙り!アンタは何年経っても成長しないわね!!!」
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