星を抱くもの 21 ページ29
《貴方の声はもう届かない!私の勝ちですわ!我が王よ!!》
『それはちがう』
断言したアランに、アルバは不愉快そうに笑いをおさめた。
『ぼくは、まけない』
《なんですって?!》
ドン!!!
外部から飛び込んできた強力な白いルフが、アランに加勢し、黒いルフを押さえていく。
《白龍!!》
闇を切り裂くようなルフと、燃え盛る炎のようなルフが黒いルフを押さえ込んでいく。
シャロットと紅炎が来てくれた事を瞬時に
《黒いルフを押さえ込んだところで、カリッア自身がこの世界と己の宿命を受け入れなければ貴方の企みは
アルバの声が遠退いていく。
けれど、その不気味さが変わることはない。
《覚えておいてくださいね。我が王よ。私は常に貴方のお側に》
ふう、とアランが一息をつくと、視界が開けた。跡形もない部屋の中で、白龍が迎え入れるように立っていた。
「白龍にーちゃん!」
助けてくれた礼をしようとすると、軽く口を
「礼はいらない」
優しく微笑んでいるので、アランもその意味は追求はせず、にっこり笑った。
「あ!ほーくんとおーちゃんは?」
「国に戻り応援を連れ戻るように言い付けた。」
安全な場所に移動していたときいて、アランはホッとした。
けれど、周囲を見渡せば、第2の我が家になっていた部屋は見るも
「ぼく、もうここにはいられないね」
アランが金属器使いであることを知っているのは、ヤムライハを含めた学園のほんの一部だけだ。
アルガン島ばかりに閉じ籠っているのも良くないと周囲に勧められ、いやいや始めた学生生活は思わず楽しかった。
中庭に避難している人々が見える。
広範囲の防御魔法がかけられ、中には怪我人もいるようだが、教師達が手当てをしているようだ。
アランの部屋を中心に建物も崩壊してしまっているが、大きな植物の茎がこれ以上の崩壊、
アランは耳をすませた。
建物内に逃げおくれた者はいないか確認するためだったが、それらしい声や物音がしなかったためホッとした。
「アラン、私は一度国へ戻る。君はどうする」
「ぼくもいく!」
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