星を抱くもの 13 ページ21
一気に外へ突き進んで見たものを、カリッアは理解ができなかった。
たった今、話をしていた隻腕の男が虫けらのように踏み
アランに会いたいと言っていたサイに無数の刃が突き刺さっている。
「やめ、やめろ!やめろ!やめてくれぇえ!」
思わず駆け出しそうになったカリッアを流星は
そして、ようやく。
ようやくこの言葉を口に出来た。
「アラン!!!」
助けてくれ!
コイツらを見捨てないでくれ!
頼む、アラン!!!
『りゅーせー?どう…』
応答があった、と思った途端、声がプツリと聞こえなくなってしまった。
「アラン?アラン!どうしたんだ!応答してくれ!アラン!!」
こんなことはこれまでなかった。
「離せ!流星!!サイのオッサンが殺される!」
「お前が行って何が出来る!」
無策で戦って勝てる数ではない。
そんなことは承知の上で彼らは飛び出していった。
カリッアと流星をアランの元に帰す為に。
流星は、ギリッと奥歯を
「逃げるぞ。乗れ!カリッア!!」
目の前で人の姿が溶け馬へと変化していく。
「は…。はぁ?見捨てんのかよ。あいつら見捨てて逃げんのかよ!!」
「あなた方を逃がすわけにも、アラン王と連絡を取らせるわけにもいきませんよ」
場違いな程の猫なで声が、大勢の兵士に守られ、のんびり2人に近付いてきた。
「全く、使い道がないゴミを拾ってやったと言うのに抵抗するとは」
困ったものです、と笑ったのは小太りな男だった。
ゴミ。
ゴミだと?
怒りのあまりカリッアの体が小刻みに震えた。
この悲鳴が聞こえないのか。
血の臭いがわからないのか!!
流星とカリッアを黒いローブを来た連中が囲いこんだ。
コウモリが伝えてきた魔法使いだろう。
「少々手違いがあったようです。さあ、こちらへ。お茶でもいかがですか?」
すとんと、カリッアの全身から力が抜けた。
一体、なんなんだ。
この世界は。
良心あるものが傷つけられ、死んでいく。
こんな事が許されるのか?
こんな……
こんな!!!
《ならば壊してしまえばいい》
突然、女の声が頭に響いた。
恐ろしい内容なのに、何故か蜜のように
《貴方にはその力があるわ》
女の赤い唇が言葉を発するたび、カリッアの思考が奪われいく。
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