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85話 ページ36

昼には間に合わなくなるが、ここで倒れるよりはマシだ。

適当な場所にしゃがみこむと、思っていたよりも体がダルい。

まあ、いいや。少し休めば良くなるだろうし・・・。





「アンナはまだ戻らないのかい?」
「うん。いくらなんでも遅いよね」

とおに、昼は過ぎた。
いくら巫女の(やしろ)が遠いとはいえ、早朝に出かけて昼に戻らないのは遅過ぎる。

「よし。俺が近くまで見に行って来る」
「ぼくもいく!」
「ダメだ。アランは母ちゃんと留守番だ」
「ぼくもいく!!!」
置いていかれてなるものかと、アランは、アグラの足元をちょろちょろとつきまとう。

「お止め。アラン。父ちゃんの邪魔をするんじゃないよ」

ガッタン!

アランが返事をする代わりに、突然鳴り響いた大きな物音に、ビクッとアンジェの体が()ねた。

「な、なに?」

アンジェが真っ先にアイラに抱きつく一方で好奇心旺盛(こうきしんおうせい)な末っ子の目が輝きだした。

「ぼく、みてくるー!!」
「おいおい。ここは、父ちゃんの出番だ。母ちゃんと一緒にいろ」
「やだ!ぼく、いっちば〜ん!!」

ダッと走り始めたアランの後を慌ててアグラが追いかけるが、狭い家の中では小柄なアランの方が断然有利だ。
動物が迷い込んだか。
ウキウキだ。

玄関の近くまで来ると、アランは柱の影からそぉおおっと覗き込んだ。



「うーーーーーーーーーー」
「ねぇちゃん?」

信じられないものを見たように、アランは大きな目を更にまん丸にした。

「どーしたの!?ねぇちゃん!とーちゃん!はやきてー!!!」
腹を抑えてぐったりしているアンナを前に、アランは助けを呼ぶことしかできない。


「アンナ!!!腹が痛いのか!?」
「や、やだ!!」

アグラが仰向けにしようとすると、慌てて服を抑えたアンナが真っ赤に頬を染めている。
目をやると血が足を伝った(あと)

「アラン。母ちゃんを呼んでこい」
「かあちゃん?」
「『月の(さわ)りが始まった』そういえばわかる。言えるか?」
「うん!」

勇ましく頷いたアランが「かあちゃん!」と、叫びながら走っていく。

「とうちゃん、お腹痛い・・・」

もはや隠しての仕方がないと理解したアンナは素直に弱音を吐いた。

「大丈夫だ。母ちゃんが薬持ってる。すぐ良くなるからな」

片腕にも関わらず、軽々とアンナを抱き上げるアグラの腕で、アンナはホッと肩の力を抜いたのだった。

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設定タグ:マギ , 練紅炎   
作品ジャンル:アニメ
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飛燕(プロフ) - S夢さん» コメントありがとうございます。第2章がスタートしています!そちらもお楽しみください。 (2017年8月11日 6時) (レス) id: 54f2f8f6b1 (このIDを非表示/違反報告)
S夢 - 主人公の心情がとても切なくて…!紅炎さん会いに行ってと思っても会ったら会ったで崩れそうで…。もう最高です!ひっっさしぶりにこんなに心に入ってくる話を読みました!更新頑張ってください!! (2017年8月10日 21時) (レス) id: 7a4424b033 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - 薙刀桜餅さん» コメントありがとうございます!その二人は第2章あたりからじわじわ再登場予定です(笑)これからも宜しくお願いします (2017年8月7日 20時) (レス) id: 54f2f8f6b1 (このIDを非表示/違反報告)
薙刀桜餅(プロフ) - 初めまして!このシリーズがものすごく好きです!自分的には、紅覇様とティラちゃんのカップルが好きです、これからも更新がんばってください! (2017年8月7日 19時) (レス) id: 2c35b59c63 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:飛燕 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年5月25日 7時

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