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84話 ページ35

完全に太陽が昇りきった頃、息を切らしながらアンナは身を清めるための滝にたどり着いた。
ここまでくれば、到着したのも同然。

近づく程、ひんやりとした空気が増していく。
さほど落差がある滝ではないが、青々しい若葉がその瑞々(みずみず)しさを更に(いろど)っていた。
滝の前に立つ、1人の良女

「おはようございます」

アンナが頭を下げると、良女は微笑んだ。

「静かな蒼き日に、おめでとうございます。」
「ありがとうございます」

お決まりの口上に、アンナも返事を返した。

彼女は今回の付添人(つきそいにん)だ。アンナが目的を果たし、迷うことなく社の外に出るまでの面倒を一切見てくれる。

「どうぞ、そのままお進みになられ、身をお清めください」

良女に導かれるままアンナは着ていたものを脱ぎ、滝の中に足を進めたのだった。



アルガン島では男よりも女が上位に位置する。
よって、アンナは男人禁制の場所に足を進めた。

ここで、巫女からの回答を貰うのだ。
作法通り、()んできた若葉を1枚、海水の上に浮かべる。

その場にいるのはアンナと付添人の良女だけだ。

「巫女様。シャロット・アルパとの面会を受け入れるかお返事をください。」

ここで、礼儀を欠くことは出来ない。
緊張の時間だ。

「可」

若葉は海水の上を(ただよ)うだけ。

「不可」

途端、ぽしゃんと若葉が水の中に沈んだ。

結論は出た。巫女はシャロットに会う意思はない。
思わず出そうになるため息をこらえて、アンナは「ありがとうございました」と頭を下げた。




うん。わかっていたけどね!

帰り道、何故かイライラする気持ちを抑えきれなかった。
始めから会えないだろうと、わかっていた。

それでも明日もこれるかと聞いたのは、そうやって時間を引き伸ばせば、アランが喜ぶと思ったからだ。

けれど、今はこの長い帰路がただただ腹ただしい。

竹筒(たけづつ)の中には、社で分けてもらった湧き水が入っているのでそれを一口飲む。

・・・あれ?



もう一口。

・・・やっぱり、へん。

いつもならばこの水を飲むと、疲れがすっと消えて、苦なく家までたどり着けるのだが。

なんだろう。
疲れが取れない・・・?

っていうか・・・??お腹イタイ?


こんな事初めてだ。
強い日差しを避けようと、脇道(わきみち)にそれると、ちょうど日陰になっている場所を見つけた。

少し休憩(きゅうけい)してから帰ろう。

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設定タグ:マギ , 練紅炎   
作品ジャンル:アニメ
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飛燕(プロフ) - S夢さん» コメントありがとうございます。第2章がスタートしています!そちらもお楽しみください。 (2017年8月11日 6時) (レス) id: 54f2f8f6b1 (このIDを非表示/違反報告)
S夢 - 主人公の心情がとても切なくて…!紅炎さん会いに行ってと思っても会ったら会ったで崩れそうで…。もう最高です!ひっっさしぶりにこんなに心に入ってくる話を読みました!更新頑張ってください!! (2017年8月10日 21時) (レス) id: 7a4424b033 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - 薙刀桜餅さん» コメントありがとうございます!その二人は第2章あたりからじわじわ再登場予定です(笑)これからも宜しくお願いします (2017年8月7日 20時) (レス) id: 54f2f8f6b1 (このIDを非表示/違反報告)
薙刀桜餅(プロフ) - 初めまして!このシリーズがものすごく好きです!自分的には、紅覇様とティラちゃんのカップルが好きです、これからも更新がんばってください! (2017年8月7日 19時) (レス) id: 2c35b59c63 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:飛燕 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年5月25日 7時

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