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52話 ページ3



《 アルガン島 》

太陽が傾いた時間帯。人々は再び動き出す。

昼間は、何をするにも暑過ぎるので、朝夕に人々は活動するのだ。

アグラ宅ではお腹を大きくしたアイラが、赤ん坊用の服を()っていた。
その服には健康に育ちますように。幸運に恵まれますように。様々な意味を込められた刺繍(ししゅう)(ほどこ)されている。

その横ではアンジェがおしめを作っていた。
アランのお下がりがあると言ったらあるが、少し前に紅輝が布を贈ってくれたので、2・3着新しくこしらえる事にしたのだ。

「ねぇ。母さん」
「なんだい?」
「Aちゃん、赤ちゃん出来なかったのかな」
「そうだねぇ。先生も何も言ってこないから、出来なかったんだろうね」
「変なの。お神酒(みき)もちゃんと結婚式に用意したのにね」

婚礼の時、飲みきるようにと紅炎に渡った神酒。
実はあの中にアルガン島の秘薬が入っていた。
まだまだ、男女の(いとな)みに(うと)いアンジェは、あのお酒を飲んだ夫婦には家族が増える。という程度の認識だが、効果の認識に間違いはない。

当然、島のしきたりに従った紅炎とAも神酒を飲みきり、夫婦の夜を過ごした。
その結果は見事に現れたわけだが、それをアンジェ達が知るのはかなり先の話になる。

「そういう事もあるさ。」
「でも、私と姉さんで一生懸命作ったのに。赤ちゃんが(さず)かりますように!って神様にお願いして、ちゃんと手順も()んだのに。何が悪かったんだろう・・・。」
「子供は授かりもんだ。(あせ)るもんじゃないよ。」
「でもー・・・」
「まぁ、アンジェもその時が来ればわかるさ。さ。それを仕上げておくれ。」

はぁあい。と、不満顔の少女は知る由もなかった。
自分たちが作った秘薬で、歴史に残る大事件の結末が大きく変わることに。


「ただいまー」

くたくたな顔をしながら帰ってきたアンナは、水差(みずさ)から水をすくい上げ(のど)(うるお)した。

「あ。姉さん、お帰りなさい!」
「大丈夫かい?アンナ」
「うん。疲れた・・・」

縁側(えんがわ)に寝転ぶように倒れこんだアンナは、見るからにぐったりとしている。

先の争いで島は荒れてしまっている。
居住区(きょじゅうく)には影響なかったとはいえ、大切な畑が荒れてしまい、働き手になる男女はこうやって毎日その後始末に追われていた。

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設定タグ:マギ , 練紅炎   
作品ジャンル:アニメ
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飛燕(プロフ) - S夢さん» コメントありがとうございます。第2章がスタートしています!そちらもお楽しみください。 (2017年8月11日 6時) (レス) id: 54f2f8f6b1 (このIDを非表示/違反報告)
S夢 - 主人公の心情がとても切なくて…!紅炎さん会いに行ってと思っても会ったら会ったで崩れそうで…。もう最高です!ひっっさしぶりにこんなに心に入ってくる話を読みました!更新頑張ってください!! (2017年8月10日 21時) (レス) id: 7a4424b033 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - 薙刀桜餅さん» コメントありがとうございます!その二人は第2章あたりからじわじわ再登場予定です(笑)これからも宜しくお願いします (2017年8月7日 20時) (レス) id: 54f2f8f6b1 (このIDを非表示/違反報告)
薙刀桜餅(プロフ) - 初めまして!このシリーズがものすごく好きです!自分的には、紅覇様とティラちゃんのカップルが好きです、これからも更新がんばってください! (2017年8月7日 19時) (レス) id: 2c35b59c63 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:飛燕 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年5月25日 7時

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