64話 ページ15
「おかえりなさいませ。閣下。」
「うん。服は?」
「こちらに」
ピシッとシワひとつ無い、軍服がかけられていた。
あと何度この服に袖を通せるだろう。
「閣下?」
「ううん。資料読んで」
「失礼します」
内容を頭に叩き込みながらも、母親の言葉が頭を占めていた。
『貴方は今、幸せなの?』
登城すると、意外な人物がそこにいた。
切りそろえられた黒髪と独特のタンバン。
涼しげな目元が、
「スパルトス!」
「久しぶりだな、元気だったか?」
「うん!1人??」
「ああ。」
思わず抱きついても、スパルトスは嫌がらず、ポンポン背中を叩いてくれた。
「皆、会いたがっていたぞ。特にシャルルカンやヤムライハはな。任務の都合で無理だったが」
懐かしいシンドリアの風景が一気に
国にはそれぞれ独特の香りを持つが、シンドリアといえばココナッツだ。
あの甘い香りを嫌がる人もいるが、慣れてしまえばどうと言うことはない。
「私も会いたい!!」
懐かしい人々の顔が思い浮かぶ。
観光客目当てに開いていた店。そこに皆んな遊びに来てくれていた。
何もかもが懐かしい。
「あ、あの。シンは、元気?」
「忙しくしておられる。特に今は、各国の動きが活発だ。」
「そうだよね」
煌帝国のマギ、ジュダルが宣戦布告をした事は先ほどの報告書に書かれていた。
まさか、いきなり。とは思っていたが、八人将の一人が自ら出向いてきたところを見ると本当のことらしい。
事態は緊迫している。
こんな時に、妊娠だなんて・・・!!
ふと、視線を感じたような気がして顔を上げると、スパルトスが視線を外すことなくAを見ていた。
「ん・・・?なに??」
「少し太ったか?」
思わず飛び跳ねそうになった。
スパルトスって、そんな事をいうキャラだっけ!!?
「え?な、なんで??」
「いや。丸くなったような気が・・・。いや、女性に失言だった。すまない。」
「あはは!故郷の味が懐かしくて食べ過ぎちゃったくせに、デスクワークが多いからかな〜。戻さないと!」
「いや。そのくらいも悪くはない」
ま、まずい・・・。
スパルトスだったからごまかせたものの、これがシャルだったら、今すぐ
「それより、シンドリアの話とか沢山聞きたい!」
「ああ。謁見が終わってからいくらでも。」
スパルトスと並んで、王宮の中に足を進めた。
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飛燕(プロフ) - S夢さん» コメントありがとうございます。第2章がスタートしています!そちらもお楽しみください。 (2017年8月11日 6時) (レス) id: 54f2f8f6b1 (このIDを非表示/違反報告)
S夢 - 主人公の心情がとても切なくて…!紅炎さん会いに行ってと思っても会ったら会ったで崩れそうで…。もう最高です!ひっっさしぶりにこんなに心に入ってくる話を読みました!更新頑張ってください!! (2017年8月10日 21時) (レス) id: 7a4424b033 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - 薙刀桜餅さん» コメントありがとうございます!その二人は第2章あたりからじわじわ再登場予定です(笑)これからも宜しくお願いします (2017年8月7日 20時) (レス) id: 54f2f8f6b1 (このIDを非表示/違反報告)
薙刀桜餅(プロフ) - 初めまして!このシリーズがものすごく好きです!自分的には、紅覇様とティラちゃんのカップルが好きです、これからも更新がんばってください! (2017年8月7日 19時) (レス) id: 2c35b59c63 (このIDを非表示/違反報告)
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