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185話 ページ44

シャロットが金属器使いなのは周知の事実だが、その内容は一切知られていない。
ある者にはささやかで。
ある者には人生を変えるほどの力。

しかし、天災をはね除けたり招くような力ではないのだ。

それはシャロット本人にも言える事で、シャロットの医者としての知識、力量には追随(ついずい)を許さないが、力仕事では全く役に立たない。
というか、やる気がそもそもない。

「誰にでも得意不得意があるというだけだ。」

自国の王をあっさりきり切り捨てた従者に、場は思わず二の次を繋げられない。

「ふふ。君は王との距離が近いんだね。」

楽しそうに笑ったのはティトスだ。
本来はムーと共にアルパ国に向かっていたはずなのだが、自国の危機に辞退したのだった。

「俺は王の小間使いに過ぎん」

やはり王と良好な信頼関係を築いているとしか思えないモランの言葉にティトスは微笑んだ。

「君の計画を詳しく聞かせてくれないか」
「地脈を探る。そこを破壊出来れば地下で(たぎ)っているマグマが一気に噴き出すだろう」


何物も切り裂くムーの金属器があれば簡単な計画だったが、不在である以上別の案を考えなくてはいけないのは仕方がないことだ。

「なるほど。だが、場所は慎重(しんちょう)に選ばないといけないな」

とりあえず、一つの案としてその場は解散することになった。
が。
モランには最善の案としての自身があった。
アガレスさえ使えれば難しい事ではないからだ。

「それにしても意外でしたな」

渡り廊下(ろうか)を歩く議院達は、首をひねった。

「シャロット王の力で噴火の予兆(よちょう)を予見したのかと思いきや、そうではないと言う」

確かに確かに。
世間的には神託として噴火の予兆を公表したが、実際はそうではない。

では、誰が予見したと言うのか。

「アルパには大きな目と耳がある。それによって今回我々は大いに助けられているわけだが、悪用されれば脅威(きょうい)でしかない」


「勘違いするな」



モランの声に議院達は一斉に振り返った。
話を聞かれていたらしくその表情は厳しい。
決まりが悪い議院達は、「いや、そのこれは・・・」などと口ごもった。
ここでヘソを曲げられたらたまったものではない。

「噴火は自然の摂理(せつり)。特に我々が何をしたわけではない。」


そこまで見届け、小鳥は神殿から飛び立った。

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飛燕(プロフ) - 令和元年おめでとうございます。 (2019年5月1日 6時) (レス) id: 0f92dbd5b0 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - あいにゃんさん» コメントありがとうございます!励みになります。未だ完結しそうにありませんが、頑張りますのでお付き合いお願いします! (2019年4月26日 12時) (レス) id: 0f92dbd5b0 (このIDを非表示/違反報告)
あいにゃん(プロフ) - 小休止が入れている→入れられている の間違いです、連コメ申し訳ありません! (2019年4月25日 20時) (レス) id: a7dec96b64 (このIDを非表示/違反報告)
あいにゃん(プロフ) - 物語の起伏の表現がとてもお上手だと思いました。物語を盛り上げるだけではなく、きちんとその合間に小休止が入れているという点が好きです。まだマギの夢小説を書いていらっしゃる方がいて嬉しいです!応援しています☆ (2019年4月25日 20時) (レス) id: a7dec96b64 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:飛燕 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年4月25日 6時

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