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181話 ページ40

「陛下は皇帝です。皇帝とは至高(しこう)の存在。民を重んじる(こころざし)はご立派ですが、今回陛下のなさりようはそれとは異なるかと」

どういう意味かアンナにはわからない。
民を(うれ)い、駆けつけるのは皇帝の姿にそぐわないと言うのなら、何が相応しいと言うのか。

「しかも、妃殿下におかれましては、無断で城を出ていかれたと聞き及んでおります。反省するどころか、話し合いの場に顔を出すなど…」

(いや)しい身分の出で」とアンナを(あなど)るような視線に胸が張り()けそうだが、元はと言えば家出が事の発端(ほったん)だという事実に反論が出来ない。

「お前たちの言う通りだ」

それは、よく通る声だった。

「今回の行いは皇帝としてそれではなかった。それは認める。だが、俺には必要な事だった。」

必要な事。
思わず白龍を振り向くと、これほどの圧にも屈せず、意思を貫こうとする若き王の姿があった。
アンナの視線に気がついたのか、白龍はふっと笑った。
王座から立ち上がり、軽々と一歩踏み出す。

「煌帝国は、国際連盟に加盟し、武力による世界統一という思考から大きく(かじ)をきった。つまりは誰も知らない時代が目前に迫っていると言うのに、それに対する備えが甘かったように思う。」

これは診療所を離れる時、シャロットが2人に説いてみせた言葉だ。

『七海連合の信念を(かえり)みるに、今後、煌帝国への風当たりは強くなるだろう。それに対し、他国への侵略行為を続けてきた君達に援護をしてくれる国などないに等しい。』

容赦(ようしゃ)のない言葉だったが、白龍には思い当たることがあったらしい。
まずは、3兄弟が城を追われてから、あちらこちら好きな方を向いている百官をまとめ上げなければ話にならない。

「陛下。何を(おっしゃ)っておられるのですかな?ここは煌帝国。我々は東の覇者(はしゃ)ですぞ!他国よりの援護など必要ございません。」
「そうです!!シンドバッドなど恐れるに(あたい)せず!」
「そうです!気弱な事を仰(おっしゃ)っていては、それこそ(すき)を与えるというもの!」

なっ・・・!

同様の意見が次々に上がる。

シンドバッドなど恐るるに足らず。

なんという思い上がりなのか。
これまでシンドリアと煌は表面上の友好国だったが、そのバランスを取っていた紅明(参謀役)はもういないのだ。

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飛燕(プロフ) - 令和元年おめでとうございます。 (2019年5月1日 6時) (レス) id: 0f92dbd5b0 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - あいにゃんさん» コメントありがとうございます!励みになります。未だ完結しそうにありませんが、頑張りますのでお付き合いお願いします! (2019年4月26日 12時) (レス) id: 0f92dbd5b0 (このIDを非表示/違反報告)
あいにゃん(プロフ) - 小休止が入れている→入れられている の間違いです、連コメ申し訳ありません! (2019年4月25日 20時) (レス) id: a7dec96b64 (このIDを非表示/違反報告)
あいにゃん(プロフ) - 物語の起伏の表現がとてもお上手だと思いました。物語を盛り上げるだけではなく、きちんとその合間に小休止が入れているという点が好きです。まだマギの夢小説を書いていらっしゃる方がいて嬉しいです!応援しています☆ (2019年4月25日 20時) (レス) id: a7dec96b64 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:飛燕 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年4月25日 6時

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